台湾・民進党勝利の陰で逝去した民主革命家の人生 台湾民主化に命を懸けて闘った施明徳さんの人生

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これまでの8年間、現在の蔡英文政権は「抗中保台」、すなわち「中国に対抗して台湾を守ろう」と呼びかけることで支持を集めようとしてきた。このため台湾の人々の間に反中感情が高まって中国との対立が深まり、中国からの圧力が強まっている。

最大の貿易相手である中国大陸を罵り続けることで、経済的な不利益をもたらした。台湾内部を振り返ると、景気は低迷しており、低賃金は長期化した。

一方で住宅価格は高騰を続け、若者は家を買えず自分の将来を見通せなくなっている。そして、複雑な社会構成から成る台湾社会で、社会グループ間の対立はさらに深まった。

「民主の勝利」は正しいか

それに加えて、与党である民進党の腐敗やモラル低下は顕著になり、スキャンダルが続出した。成功した政策は見当たらず、当初は高く評価されたコロナ対策も、最後は感染の大拡大を引き起こした。

しばしば評価されるアジア初の同性婚の法制化も、実は民進党の功績ではなく、むしろ台湾全体レベルで行われた住民投票による結果という側面が強い。

こうした中で、今回の総統選挙では頼清徳氏が当選し、これから4年間、さらに民進党政権が続くことになった。頼清徳氏は勝利宣言で、「民主の勝利だ」と叫んだ。しかし得票率は40%だ。

事前の世論調査の多くで、有権者の6割が政権交代を望んでいると出ていたが、これがちょうど野党勢力の票を合わせた得票率になっている。野党の一本化失敗で転がり込んだ「4割総統」の誕生は、有権者が民進党の蔡英文政権に不合格点を付けたことを意味しないだろうか。

今回、若者の多くが新興勢力の民衆党の柯文哲氏を支持したが、これは民進党への批判票だと考えられている。

「民主の勝利」。日本のマスコミが総統選挙報道で喜んで引用したこの言葉だが、それは正しいのか。民進党が勝利すれば民主の勝利であり、野党が勝利すればそうではないのか。

なぜ今さら台湾で民主を叫ばなければならないのか。台湾は少なくとも1996年には総統直接選挙を実施し、形式的には民主制度を実現している。

現在の台湾の問題は、どのような民主主義にレベルアップさせるかであって、形式的な選挙民主主義からどう脱却するかだ。とくに2大政党である民進党と国民党の長期的な対立の弊害は、「悪闘」として批判されている。

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