"令和の米騒動"の裏で真相究明は長期化、自民党の「裏金」問題が一向に解明されない《国民不在の情けない事情》

衆議院予算委員会は5月27日、下村博文・元文部科学相を参考人として招致。下村氏が幹部を務めていた自民党旧安倍派の「裏金」事件の真相解明を目指した。しかし、2022年8月の幹部会合でパーティー券の販売ノルマ超過分の還流再開を決定したのではないかとの疑いを下村氏が改めて否定したことで、事件の“闇”は一段と深まる結果となった。
同委員会の野党メンバーはそろって、事件解明の残るキーパーソンとされる塩谷立・元安倍派会長代理と、長期間にわたって同派の会長を務めた森喜朗元首相の参考人招致と証人喚問を要求。どちらも本人の受諾が前提条件となるが、塩谷・森両氏とも拒否する考えとされるため、今国会中の実現は困難視される。
そもそも、攻める野党側にも「自民党が『政治とカネ』問題の解明に対して協力的でない姿勢を国民にアピールし続けることが、次期参院選における野党の勝利につながる」(立憲民主党幹部)との思惑があるとされる。一方の自民党は「裏金問題の風化」を狙っているとの見方が多い。
確かに、今回の下村氏招致についても、情報番組を筆頭に、大手メディアの報道ぶりは以前より大幅に熱量が低下していることは間違いない。政界では、その背景について「『トランプ関税』が“国難”となる中、いつまでも「裏金」事件に貴重な審議時間を費やすべきではないとの国民感情がある」と指摘する声もある。それだけに、「次期参院選で関係議員の当落が決まれば、一件落着」(自民党幹部)となる可能性も少なくない。
元会計責任者とは「認識の齟齬がある」と下村氏
27日の衆院予算委での参考人招致は、下村氏の申し出を受けて実現したものだ。最大の焦点は、2022年8月5日に行われた旧安倍派の幹部会合で「パーティー券販売ノルマ超過分の還流再開が決まった」と松本淳一郎・元同派会計責任者が裁判などで証言したことに関する下村氏の受け止めだった。
この点について、下村氏は改めて「再開を決めたということはない」と否定したうえで、会計責任者との間に「認識の齟齬がある」と主張した。
松本氏は、今年2月の衆院予算委の参考人聴取で、還流再開の経緯に関して「2022年7月に“今は現職ではない”議員に再開を求められた」と証言し、その後の幹部会合で再開が決まったと説明。政界ではこの「人物」について、昨年10月の衆院選で落選した下村氏だと受け止められていた。
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