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<詳報記事>日本製鉄の森高弘副会長が語った業績見通しとUSスチール交渉の行方「100%子会社化はトランプ大統領の狙いと一致する」

日本製鉄の今後の見通しやUSスチール買収の今後について、担当役員に聞いた (撮影:梅谷秀司)
日本製鉄の森高弘副会長兼副社長が2024年度の決算発表を受け、5月中旬、東洋経済の個別インタビューに滞在先のワシントンDCからオンラインで応じた。日鉄をめぐっては、USスチール買収計画を認めるかどうか、トランプ大統領が判断する期限が6月5日に迫る。今後の業績見通しや、森氏が「買収の重要性が増している」と語った理由とは。
コンサバすぎると言われるかもしれないが…
――2025年3月期の決算が公表され、事業利益は前期比2割以上減の6832億円となりました。
全世界の鉄鋼業界の事業環境は、極めて厳しい。原因は中国による過剰輸出だ。今回の決算は、そうした世界的な事業環境の悪化や、インド、アセアンを含めたマーケットの悪化で説明できる。
そうした中、やれることは全部やっている。例えば原料事業。最近では、EVR(エルクバレーリソーシズ)というカナダの石炭会社に出資し、収益貢献につなげた。
――今2026年3月期は、さらに厳しい見通しを計画しています。
コンサバに見すぎではないかと受け止められるかもしれないが、最大限マイナス要因を見込み、在庫評価差等を控除した実力ベースの事業利益の見通しを6000億円以上(事業利益見通しは4000億円以上)とした。
その理由も前期同様、マーケットの悪さの影響が大きい。
鹿島(茨城県)の高炉休止による構造改革効果や、通常のコスト削減効果、品質向上対策などの成長政策により前期比1000億円ぐらいのプラスになると従前は見ていた。実際、これらの効果は出ている。しかし、それを飲み込んでなお悪い方向にマーケット環境が進んでいる。
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