【野田佳彦・単独インタビュー(前編)】「なぜ食料品の消費税率ゼロなのか?」根底の思想と制度設計を語る

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野田佳彦
(撮影:尾形文繁)
7月の参議院選挙を控え、各政党間での政策論争が活発化している。立憲民主党党首の野田佳彦氏に、単独インタビューを行った(前編)。
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国民にもっとも訴えたいこと

塩田潮:昨年9月に立憲民主党代表に就任した後、10月の衆議院総選挙での勝利を経て、今年7月に参議院選挙を迎えます。この選挙で国民にもっとも訴えたい点は。

野田佳彦:1月に再登場したアメリカのドナルド・トランプ大統領の関税政策で、世界経済が大きく後退すると見ていまして、仮に日米間の交渉がうまく行ったとしても、世界経済全体はかなり冷え込む可能性があると思います。そのとき、土砂降りの雨が降る場合の備えをどうするか。その点への対策が参院選の一番大きな公約になると思っています。

塩田:「土砂降りの雨だと傘をさす、雨がやんだら傘をたたむ」という比喩を使って、消費税問題について触れていますね。

野田:そうです。4月24日に党の各部門から参議院選挙用の公約が出てきました。その一つとして、消費税は特に大きなテーマなので、中身については私と政調会長に一任されるという状況でした。消費税の問題だけを特に取り出してやってきたわけではありません。

塩田:「トランプ関税」による世界経済の動きと、消費税の減税の問題は、どう結びついていると理解すればいいのですか。

野田:物価高対策という意味では、特にエネルギーと食料品が比重として大きい。エネルギーについては、ガソリン税、軽油取引税の暫定税率を廃止する。約1兆4900億円くらいの税収減になります。これはすでに法案を出しています。

もう一つの食料品のほうは、4月だけで4000品目以上の値上げがあり、エンゲル係数で28.3という43年ぶりの水準になっています。単身者、高齢者世帯、子育て世帯が直撃を受けている。これにどう対応するかが喫緊の課題なら、思い切って食料品の消費税の税率をゼロにする。実際は、税制で所得が低い人ほど税負担の割合が大きいという逆進性に関する対策としてもっとも有効なのは、給付付き税額控除だと思っていますが。

塩田:消費税は、所得にかかわらず同じ税率で、低所得者の税負担が相対的に重くなるという逆進性があります。それに対して、所得税の税金から一定額を控除し、控除額より課税額が少ないときにはその分を現金で給付するのが給付付き税額控除で、逆進性対策には有効といわれています。

野田:給付付き税額控除の制度設計を急がなければなりませんが、すぐには間に合わない。土砂降りの雨に対して傘をさすというやり方だと、臨時・異例の時限的な措置として、食料品の消費税率をゼロにするという方法があります。

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