「この30年で日本は驚くほど変わった」日本大好きエコノミストと、知日派ジャーナリストが見た日本で起きている”劇的な変化”

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エコノミストのノア・スミス氏(左)と、知日派ジャーナリストのリチャード・カッツ氏が日本経済の未来についてガチで語り合った(撮影:尾形 文繁)
物価高騰や停滞する賃金、高齢化問題に加えてトランプ関税による先行き不透明感――日本経済を見るとこれまで以上に「詰んでる」感があるが、偶然にも同時期に日本経済に関する著書を上梓したアメリカ人ジャーナリストとエコノミスト2人は、「日本経済の先行きには楽観的」と太鼓判を押す。日本の経済成長の余地はどこにあるのか。『「失われた30年」に誰がした』の著者、リチャード・カッツ氏と、『ウィーブが日本を救うーー日本大好きエコノミストの経済論』の著者、ノア・スミス氏が語り合った。

30年で日本社会は大きく変わった!

ーーここ30年で日本は「変わった」「変われていない」どちらでしょうか。

カッツ:そこそこの成長を遂げていた経済から、悪化の一途を辿っている経済へと移行した。GDPの成長率で見ると、6年間はまずまず成長し、その後6年間は実質的に成長がない状況を繰り返している。今日のGDPは2018年に比べてやや高いが、トランプショックによって日本の停滞期はさらに長引く可能性がある。

世代間における社会的流動性についても改善はしているが、鈍化している。教育についてもかつてほど平等ではない。経済的な面だけでなく、平等性や日本を「素晴らしい場所」にしてきた価値観においても悪化しているのではないか。

一方で、20、30代の日本人の起業家に話を聞くと、非常に野心的で自信に満ちており、既成概念に挑戦したいという考えを持っている。これは刺激的だ。多くの会社では女性たちがお茶汲みをしているというかつての光景はなく、女性も高いポジションに就いている。つまり、いい変化と悪い変化が混在している。

スミス:私が目にしているのは、多くの社会変化と、それほど多くない経済変化だ。緩やかで漸進的な経済変化は見られるが、あなたが言うように、大きな成長は見られない。停滞した経済、低成長、特に賃金の低迷が大きな問題だ。

しかし、私が日本を訪れるようになったここ20年間で非常に広範囲な社会変化が起きている。女性が働くことが当たり前になり、同性愛者に対する受容も進んでいる。どちらの変化もアメリカほど大騒ぎせずに起きている。

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