「スマホ依存」の人がハマる宿命的な脳のトラップ ドーパミンの分泌と不安に追われるラットレース
いくつかの投稿に”いいね”をつけて、新たに何人かをフォローする。
だれかがフォローを返してくれていないかを確認しよう。
念のため、もう一度メールをチェックして……こうして、同じアプリを2度使うことなく数時間くらいは簡単に過ごせる──そのうち集中していた時間はせいぜい数秒ほどだろう。
あえて伝えておくが、ドーパミンによる高揚感と幸福感は別ものだ。ただし、それを脳に理解させられるかどうかは……どうぞたしかめてみて。
ささやかな「気分のよさ」が満載のスマホ
2、3歳の幼児の相手をしたことのある人ならご存じだろうが、幼い子供は反応が返ってくる行動が大好きだ。
壁のスイッチを押すと明かりがつく。ボタンを押すと呼び鈴が鳴る。ほんの少しでもコンセントに興味を示すと、大人が飛んでくる。
この特性から私たちが卒業することはない。いくつになっても自分の行動に反応が返ってくるのは嬉しくてしょうがないのだ。
こうした反応を心理学用語で”強化”と言う。特定の行為で何度も強化が起きると、その行為を繰り返す確率は高くなる(奇妙なことに、返ってくる反応が望ましいものでなくても強化は起きる。子供が紙粘土を口に入れたので叱ったとする。これでもうやらなくなるだろうと思うかもしれないが、断言してもいい。そうはいかない)。
スマホは気分をよくするささやかな強化の集まりだ。ことあるごとにドーパミンを分泌するので、私たちはますます手放せなくなる。
リンクに触れるとページが開く。メッセージを送るとシュッと小気味いい音がする。こうした強化が積み重なって心地よい操作感を生み、余計にスマホを触っていたくなるのだ。
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