学生に「AIを積極的に使おう」と促す切実な理由 9割の学生がChatGPTを使っていなかった

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要するに、技術を使いこなして答えを出すことと、技術を使わないで自分の頭で考えることの両方が必要なのです。おそらく大学の先生には、学生にはChatGPTを使わせたくないという意見の人が多いでしょう。そのため、私自身は学生に対して「AIは積極的に使うように」と促して、バランスを取ろうと思っています。

そもそも、現時点では生成AIを使っていない学生が少ないため、まだその使い方を習得してもらう段階にあると言えます。ビジネスパーソンもそうですが、より多くの人がAIを使いこなせるようになった方が、「AIデバイド」が縮小していいと思います。

DIYテクノロジーとなった人工知能

これまでAIは、大学や企業に属するAIの専門家によって研究開発がなされ、活用されてきました。しかし、生成AIの登場によってAIは民主化され、誰もが簡単に使えるようになったのです。専門家ではない個人であっても活用できるような技術を、私は「DIYテクノロジー」と呼んでいます。「DIY」は「Do It Yourself」(自分自身でやる)の略で、業者や専門家に頼まずに自分で家を修繕したり家具を作成したりすることを言います。

量子コンピュータやバイオテクノロジーは、まだDIYテクノロジーではありません。「自宅で趣味の一環として遺伝子操作をやっています」という人はほとんどいないでしょう。かつてのAIも同様です。

しかし、今やAIはDIYテクノロジーとなり、多くの人が日曜大工のようなノリで、せっせとStable Diffusionに人物や風景の画像を作らせたり、ChatGPTに物語を執筆させたりしています。生成AIを組み合わせることで絵本や漫画なども創作できますし、それらを電子書籍として販売するのも簡単です。そのようなクリエイターを、ここでは「プロンプト・クリエイター」と呼ぶことにしましょう。

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