学生に「AIを積極的に使おう」と促す切実な理由 9割の学生がChatGPTを使っていなかった
先述の図1‐1の「水平線に沈む夕日」のようなAIに与える指示文を「プロンプト」といい、それを作る職業を「プロンプト・エンジニア」といいます。そのプロンプト・エンジニアと重なる部分はありますが、プロンプト・クリエイターは、特にAIを使って作品を作る人を表しています。
生成AIで簡単に絵本を作れる
私は大学のサブゼミで、生成AIを使って画集や写真集、絵本などを作る指導をしています。いわば、プロンプト・クリエイターがどういうものかを、学生たちに体感してもらっているのです。
写真集というのは、たとえば私であれば古代遺跡が好きなので、ありそうでない架空の古代遺跡の画像をStable Diffusionでいくつも作りました(図1‐3)。そうした画像をまとめて、文章を記載して1冊の電子書籍の形にしようとしたのです。
ただ、実際に電子書籍として販売するのは取りやめにしました。というのも、著作権の問題がクリアになっていないことに加えて、アマゾンの審査結果が出て販売できるようになるまでに半年以上の時間がかかるからです。現在、続々とAIで作った写真を販売しようとする人が出てきており、審査待ちの長い行列ができてしまっているのです。絵本の方は、ChatGPTなどの言語生成AIと、Stable DiffusionやMidjourneyといった画像生成AIを組み合わせると作ることができます。
まず、ChatGPTに「友情をテーマにした絵本を作りたいです。章立てを考えてください」などと入力して、物語の章立てを作らせて、さらに章ごとの文章を生成させます。今度は、その文章を画像生成AIにプロンプトとして入力すると、文章にふさわしい絵を作ってくれます。あとは、その文章と絵を編集してできあがりです。最初は手間取ることが多いですが、慣れるとものの1時間くらいで1冊の絵本が完成します。
この作業の中で大事なのは、どういう絵本を作るかというアイディアの部分です。「友情をテーマにした絵本」では平凡すぎます。ゼミ生の中には「競馬をテーマにした大人向けの絵本を作って」とChatGPTに指示している人もいましたが、その方が独創的で面白いと思います。
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