学生に「生成AIを使うな」と言うのはナンセンスだ 今後は「AIネイティブ」世代への対応も課題に
ChatGPTに代表される生成AIが教育現場に衝撃を与えている。「AIが書いた」とすぐわかる従来のAIとは異なり、生成AIが作り出す文章は人間が書いた文章と何ら遜色ない。
ChatGPTに試験問題を解かせた結果もつぎつぎと報告されている。アメリカの医師資格試験問題を解かせたところ、正解率は52~75%で、合格ラインとされる60%前後に達した。また、アメリカ・ペンシルバニア大学ウォートン・スクールがMBA(経営学修士)の最終試験を受験させたところ、BマイナスからB程度の評価を得て見事合格したという。さらに最新の大規模言語モデルGPT‐4を搭載したChatGPTは、アメリカの模擬司法試験で受験者の上位10%のスコアを叩き出した。
新著『ChatGPT資本主義』を上梓した野村総研プリンシパル・アナリストの城田真琴氏は、こうした状況をどう見ているのだろうか。
対応を迫られる大学
ChatGPTをレポートや論文の執筆に使えば、学生は労せずして課題をクリアできてしまう可能性が高いため、教育現場へ与える影響は甚大である。
アメリカなど一部の国では、すでに高校生や大学生らが「小論文」や「数学」などの宿題をChatGPTにやらせて、それを自分がやったことにして教師に提出するなど、不正に利用するケースが多発している。
日本でも学生の使用を見据え、各大学で規制や注意喚起を行うなどの対応が始まっている。
東京大学では2023年4月3日に太田邦史副学長の名前で、「生成系AIについて」として、「学位やレポートは、学生本人が作成することを前提としており、生成系AIのみを用いてこれらを作成することはできない」という声明文を発表している。
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