学生に「生成AIを使うな」と言うのはナンセンスだ 今後は「AIネイティブ」世代への対応も課題に

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さらに、現状では生成AIを用いて作成した論文・レポートであることを高精度で見出すことは難しいため、「書面審査だけでなく、対面でのヒヤリング審査・筆記試験などを組み合わせ、本人が本当にその論文を作成したのかについても吟味する必要が出てくる」ともしている。

慶応義塾大学も「生成AIの利用は他者の力を借りることと同じ意味を持ちます」とし、「各授業科目における課題や試験等に関して、独力で取り組むことが求められている場合には、生成AIを利用することは認められません」という内容の、学生に向けた声明文を公開している。

ただし、急速に変化する生成AIをめぐる状況を受けて、方針の見直しも迫られている。東大は2023年5月26日には、「授業課題を提出する際に、生成系AIツールが生成した文章等をそのまま自分の文章として用いることは認められない」としつつも、「生成系AIツールの利用を一律に禁止することはせず、その活用の可能性を積極的に探るとともに、活用上の実践的な注意を発信していきます」というようにややスタンスを変えている。

各大学とも一律に利用を禁止するのではなく、学生には生成AIのリスクをきちんと認識させたうえで、それらの価値を正しくかつ適切に評価できるようにし、広く社会にその成果を還元してもらいたいというのが基本姿勢のようだ。

試験でスマホを禁止するのとはわけが違う

生成AIを教育現場でどのように取り扱うかという問題は非常にやっかいだ。試験監督が存在するようなシーンではスマホの使用を禁止しているのと同じように禁止できるだろうが、宿題やレポートのように学生が持ち帰って後日提出するタイプの課題では、いくら使用を禁止したところで実効性は乏しい。

また、生成AIは過去の似たようなツール――たとえば電卓やスマホと異なり、できることの範囲が桁違いに広い。電卓であれば計算、スマホは知識を問うような問題に有用というように、用途はある程度限定された。しかし生成AIであれば、計算問題も知識を問う問題も読書感想文を書くこともプログラミングもできる。しかもその精度は日に日に向上している。

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