学生に「AIを積極的に使おう」と促す切実な理由 9割の学生がChatGPTを使っていなかった

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中には悩み事をChatGPTに打ち明けて、相談に乗ってもらっている人もいます。私も困ったことがあれば、尋ねることがあります。たとえば、「鼻づまりが治らないんですけど、どうしたらいいですか?」と聞くと、ChatGPTは「塩水を使って鼻を洗浄することで、鼻の中の粘膜を潤わせることができます」などと、もっともらしい回答をしてくれます。

AIが人の代わりに働き得る時代になりつつある

2016年頃に始まったAIブームで、「AIは期待ほどではない」と思った人が少なくなかった理由は、コミュニケーション力が弱く、大した知性を感じさせなかったからでしょう。以前から、人と会話ができるAIである「チャットボット」(会話ボット)が存在していたのですが、そんなに的確な返答はしてくれませんでした。

ECサイトで顧客の質問に答えるサービスにもチャットボットが使われていましたが、決まり切った言葉を機械的に返してくるだけだったのです。このレベルのチャットボットでは限界があるため、カスタマーサポートを人の手に任せる企業が多いわけです。

ところがここに来て、ChatGPTのような言語生成AIに代替できる可能性が出てきました。至るところで、AIが人の代わりに働き得る時代になりつつあると言えます。そのため、AIが仕事や経済、社会に与える影響は、これから果てしなく大きくなっていくでしょう。

にもかかわらず、「自分はAIにまったく興味がありません」という知り合いが私の周りには割と多くいます。余計なお世話ではあるのですが、将来大丈夫だろうかと心配になってしまいます。2023年の4月に、私が大学で受け持つ受講者300人ほどの講義で、ChatGPTを使ったことがない人に手を挙げてもらったところ、9割ぐらいの学生が挙手しました。それで「いやあ君ら、使った方がだんぜんお得だよ」と心の中で思いました。

最近、ChatGPTを教育の現場で使わせるべきかどうかといった議論が盛んになされています。しかし、これはそもそも二者択一の問題ではありません。電卓を使って効率的に計算した方が良いような局面は当然あるでしょう。けれども、だからと言って九九を覚える意義がなくなることはありません。

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