生成AIで「ググる」が終焉し「コパる」へ移行の必然 2024年に生成AIを活用する「最大のリスク」とは

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以前であれば、「申し訳ないですが一度持ち帰らせていただいて検討させてください」とお断りしたうえで、会社に戻るのが標準手順だったことでしょう。それでググる代わりに先輩に尋ねるか、ないしは専門部署にその質問を回すことになります。

それがこれからどうなるのかを対比させてみましょう。ChatGPTエンタープライズを利用することまでコパると言っていいのかどうかは、ブランドの観点ではやや躊躇がありますが、ここではそのまま生成AIを使うことをコパると表現して続けてみたいと思います。

ChatGPTエンタープライズがきちんと会社のイントラネットに蓄積されたノウハウを学習しているという前提で言えば、「この商品をこの会社で導入すると効果は出ますか?」といった質問を具体的な商品名と具体的な顧客名で入力すると、チャット形式で回答が出るはずです。

「この会社が従業員数120名という規模を前提に考えると、商品Aの特性は活用できますが、BとCの特性はあまり効果が出ないかもしれません」といった回答が得られたとしたら、さらにチャットで「ではこの会社でBやCの効果まで得たい場合、最適な商品はどれでしょうか?」と入力すれば、「Xという商品を顧客に勧めてみてはどうでしょうか?」という回答が、そのスペックや期待効果とともに表示されるようになります。

これは「一度持ち帰って検討します」という対応と比較すれば、その場で顧客対応が進むという意味で営業であればはるかに成約確率が高くなることを意味します。

多くの職場がコンビニ化する

良い点としては仕事の生産性が大幅に上がることですが、悪い点を挙げると正社員の価値が下がるということが懸念されます。その究極の事例がコンビニ店員だと言えば理解しやすいかもしれません。コンビニの店員は日常業務で受発注から商品の受け取り、売り場への陳列など小売業で行うべきほとんどの仕事を非正規従業員の立場でこなしています。

それがこなせるのは小売業としてのノウハウが端末から簡単に手に入り、ITないしはAIの支援で仕事がスムーズにこなせるからです。

コンビニではない多くの職場で、これと同じことが起きることが予測されるため、短期的には仕事の生産性は非常に大きく向上するのですが、長期的に見れば「この仕事は正社員でなくてもこなせるのではないのかな?」と経営者が気づく可能性も増大しそうです。

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