恐竜学者「化石がある」ならウズベキスタンへも まさかの"ボウズ"から一転、新種の恐竜発見

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舗装されていない悪路を走ることしばらく。薄い赤茶色の岩石が広がる荒野で車は止まった。「ここです、ここです」と興奮気味に駆けるオタベック君の後を追う。

化石が見つかったスポットには、確かに黒い塊が散乱していた。しかし、小林先生とじっと観察してびっくり、オタベック君の見つけた「恐竜化石」はなんと、木の化石だったのだ。

骨のように見えた輪郭は木の幹だった。私とオタベック君は心底がっかり。ウズベキスタン恐竜研究ドリームは目の前でパチンと消えた。現実はそんなに甘くないか……。オタベック君は化石の専門家じゃないから、責めることはできない。

しかし、「ああ、間違いをしてしまった」と思わないのがポジティブ思考の恐竜学者。その筆頭である恐竜研究のトップランナー、小林先生はこう言った。

「木の幹の化石が見つかるということは、当時ここが陸地だったということ。恐竜化石が見つかっても不思議じゃないよ。もう少し探そう」

恐竜学者は“ボウズ”のときどうするか

考えてみれば、これはとてつもなく幸運なことである。ウズベキスタンで恐竜研究ができるチャンスなんてなかなかない。

まだこれまで誰も、恐竜化石を見つけていないウズベキスタンのフェルガナ盆地で、日没まで化石探しに没頭できるのだ。最高の贅沢である。オタベック君のおかげで、新しい研究の扉が開かれようとしている。それをみんなの力でこじ開けよう。

フェルガナ盆地の南部に移動し、崖の上に立つと、体の奥から嬉しさがこみあげてきた。眼下には恐竜時代とされる地層が果てしなく広がっている。遠くには蛇行した川が見える。

その先にある山を越えたらもうキルギスだ。白い地層に挟まれた赤くて薄い地層が褶曲によってゆらゆらと波打ち、まるで横たわったドラゴンのようにどこまでも伸びている。

風がやみ、音が消えた。大きく息を吸うと、土の匂いが鼻を抜ける。一体、これまでに何人の研究者がこの地にたどり着くことができたのだろう。湧き上がる高揚感とともに、崖をゆっくりと下り、化石を探しに行く。

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