恐竜学者「化石がある」ならウズベキスタンへも まさかの"ボウズ"から一転、新種の恐竜発見

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許可をもらい、ナゾの肉食恐竜とティムレンギア、二つの顎化石を展示ケースから取り出して並べてみると、大きさの違いは明らかだった。ナゾの肉食恐竜の方が一回りも二回りも大きい。

私たちは、これが重要な化石であることにすぐに気が付いた。ウズベキスタン中央部では、6種類ほどの肉食恐竜化石が見つかっているが、どれも全長5メートル以下の小型種である。

「上顎のみ」で全長を推定できるのか

見つかっている中で、比較的大きな肉食恐竜はドロマエオサウルスのなかま(ドロマエオサウルス科)で、5メートルくらい。このナゾ肉食恐竜と一緒にケースから取り出したティムレンギアは、全長3メートルほどと見積もられている。

ウズベキスタンでは、これほど大きな肉食恐竜の化石はまだ報告されていないのだ。ということは、ナゾ肉食恐竜は新しい種類の恐竜である可能性がある。

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9000万年前、ティラノサウルスの系統はまだ体が小さくて、それほど強い恐竜ではなかった。ユーラシア大陸の西端で、ティムレンギアを抑え、このナゾ肉食恐竜が生態系のトップに君臨していたのではないか。

私と小林先生は静かに興奮し、調査の合間のランチのときには、今後どう研究を進めようか、どんな展開になりそうか、肉食恐竜の化石の話題でもちきりだった。その一方で、私たちは冷静に骨の特徴を記録し、計測し、証拠を集めた。

この恐竜が当時最大の捕食者だったと結論付けるには、体の大きさを調べなくてはならない。見つかっている部位は上顎のみ。果たして、この限られた情報から、全長(=鼻先から尻尾の先までの長さ)を推定することはできるだろうか。

*続きは後日配信します。

田中 康平 筑波大学 生命環境系 助教

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たなか こうへい / KOUHEI TANAKA

筑波大学生命環境系助教。北海道大学理学部卒、カナダ・カルガリー 大学大学院地球科学科修了(PhD)。恐竜の巣づくりや子育ての進化を解き明かすため、卵や巣、赤ちゃんの化石を研究している。著書に『恐竜学者は止まらない! 読み解け、卵化石ミステリー』(創元社)、『最強の恐竜』(新潮新書)など。

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