解明できればノーベル賞?宇宙で一番「熱い話」 東大教授たちも注目するダークエネルギーとは
戸谷:たまたま運がいいのか……。宇宙の長い歴史の中で、減速から加速に転じているところに我々が住み合わせる必然性はまったくないんですよ。もっと昔に起きてもいいし、もっと将来でもいい。
中須賀:それは観測方式を今の我々が見つけたからわかった、ということではないんですか。現象としてそうなっているということですか。
戸谷:これを見つけられたのは近年の天文学の発展のおかげですが、それとは別の話で、減速から加速に転じるちょうど宇宙史的な境目の時代(宇宙誕生から100億年程度)に我々が住んでいる、という意味です。それが物理現象として不自然なんです。
アインシュタインの凄さと、その限界
加藤:これ、今の時代にアインシュタインがいたら、解いてくれる可能性はあるんですかね。
戸谷:実は、アインシュタインが生きていた頃から減速から加速に転じているんです。ただ、アインシュタインの時代は観測技術がなかったから、それがわからなかったんです。
加藤:そういう話を聞いていると、アインシュタインは本当に天才だったんだなと思います。だって、観測技術がない時代にアインシュタインが考えたもので、今の物理法則のほとんどを説明できるわけですよね。
戸谷:最近話題になっている重力波も、アインシュタインが予想したものです。ですから、我々はアインシュタインの法則が正しいということを、この100年間、確認し続けているんですね。
瀧口:アインシュタインの相対性理論に限界はないんですか。
戸谷:ダークエネルギーがまさにひとつの限界かもしれません。つまり、ダークエネルギーの正体はよくわからないけれども、あのアインシュタインの方程式に、なにか定数を入れないと説明できない。ただ、すごく不自然な値を入れるので、もしかしたら、そもそもアインシュタインの相対性理論を宇宙全体に適用するのは、やはり不十分なのかもしれない。
なので、ダークマターを説明するためにニュートンの重力理論を修正しようという話がありました。これはうまくいかなかったけど、同じように、ダークエネルギーを導入する代わりにアインシュタインの相対性理論をより高度なものに変えよう、という試みもされています。