解明できればノーベル賞?宇宙で一番「熱い話」 東大教授たちも注目するダークエネルギーとは
加藤真平(以下、加藤):つまり、銀河の動きを観測するとだんだん遠くに行っているようだけど、その遠くに行くスピードがちょっとずつ遅くなっている。だから、膨張は少しずつ遅くなっている、という話だったのが、2000年くらいから「あれ? なんかあの銀河、やたら離れて行ってない?」と気づいた、みたいな感じなんですか。
遠くのものほど速く遠ざかる
戸谷:宇宙全体では、遠くの銀河ほど我々から速く遠ざかります。例えば我々が話しているこの部屋に複数人の人が座っていますが、仮にこの部屋がぐっと引き延ばされたとすると、私から見て遠くにいる人ほど速いスピードで離れていきますよね。反対に、私より近い人はゆっくり離れていく。
宇宙でもそれが起きていて、我々から遠い銀河を観測すると、我々から常に遠ざかっています。しかも遠ざかる速度が、遠い銀河ほど、比例して速く遠ざかっている。宇宙が膨張していると考えると、それが合理的に説明できるんです。
これを、1930年代にエドウィン・ハッブルという天文学者が発見しました。そして、宇宙で遠くを見るということは、過去を見るということです(例:いま私たちが見ている太陽は8分前の姿である、など)。
ですから、遠くの銀河や近くの銀河など色々な距離のものを測ると、昔の宇宙の膨張の速度がわかるんです。すると、宇宙の膨張が時間とともにどう変わってきたのかもわかります。これまでは減速していたのに最近は加速に転じているということも、それでわかった。
中須賀真一(以下、中須賀):最初からずっと加速していたわけじゃなくて、一度、減速したというのがすごいですよね。
戸谷:それが謎なんです。すごく不自然なんです。宇宙が始まって138億年ですが、ちょうど我々が住んでいるこの時代に、アインシュタインの導入した宇宙定数が効果を持ち始めて、減速から加速に転じている。
瀧口:宇宙にとっての大切な時期に、たまたま私たちが生きているということですか。