サッカー協会・宮本恒靖新会長が直面する財政問題 元代表キャプテンの手腕はいかに?

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そういった環境を与えられた宮本氏も努力を惜しまなかった。中期計画の中では、これまで取り組んできた日本代表の活躍、スポーツ・サッカーの拡大、社会課題への挑戦、新たな成長モデルの構築といったテーマをより追求していくことを強調している。

とりわけ、宮本氏が取り組まなければならないのが、財政面だろう。2020年からのコロナ禍で日本代表戦を開催できず、観客制限も長く続いたため、2022年度(1~12月)からの決算は収入191億1149万円に対し、支出は239億9271万円と約48億8000万円の赤字となった。コロナ禍の影響を踏まえ、もともと46億円超の赤字予算を組んでいたうえ、JFA特定預金を取り崩したことで、実質的な赤字は3億5000万円程度に縮小されたが、厳しい状況に陥ったのは間違いない。

2023年度はJFAハウス売却益などが加わって前年比100億円増、67億円超の黒字となる見通しだが、それほど楽観できる状況とは言いがたい。少子化の影響もあり、選手登録数は2014年度の96万4328人をピークに下降線を辿っており、2022年度時点では81万7375人。JFAが定めた2005年宣言では「2050年までにサッカーファミリーを1000万人にする」という目標が掲げられていたが、それが難しくなりつつあるのだ。

その対策の1つとして「JFA Passport」というアプリを2022年カタールW杯直前の11月にローンチし、誰でも無料で入れる新たな登録の枠組みを構築したが、本格展開は道半ばにあるようだ。アプリ自体のダウンロード数も思うように伸びていない模様。代表戦の地上波放送減少もあって、ライト層への遡及が難しくなっている今、いかにしてサッカーの魅力を広く伝え、マネタイズしていくかというのはハードルの高いテーマだ。

サッカー新拠点「blue-ing!」を立ち上げ

宮本氏は「収入増の新たな方策を見出したい」と熱望。彼が積極的に関与して企画・準備を進め、昨年12月23日にオープンした東京ドームシティ内のJFAサッカー文化創造拠点「blue-ing!」の運営に期待を寄せている。

同施設にはこれまでJFAハウス内にあった日本サッカーミュージアムの展示品が一部移設し、新たなテクノロジーを使った有料体験型ゾーンを整備。飲食スペースなども併設して、より多くの人々に気軽にサッカーに触れてもらうことを目指している。

アジアカップ・日本戦の際にはパブリックビューイングを実施するなど、さまざまなイベントを開催し、集客と増収につなげたいという。宮本氏は12月21日のオープニング会見に登壇し「サッカーの魅力に触れてほしい」とアピールしていたが、今後の動向が気になるところだ。

Blue-ing! 宮本恒靖 サッカー日本代表
「blue-ing!」の立ち上げを主導した宮本恒靖氏(前列中央/筆者撮影)
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