自己負担はあまり目につかないので、今後もさらに行われる可能性がある。しかし、増やされる人の側から言えば、かなり大きな負担増になってしまう。
したがって、「定義によって自己負担は国民負担に含まれません」と言って終わりにするわけにはいかない。この問題については、さらに突っ込んだ検討が必要だ。
とくに、医療保険や介護保険における自己負担のあり方について、今後議論する必要がある。現在は所得によって差が付けられているが、所得の定義をどうするか、金融資産からの所得を入れなくていいのか、また所得だけでなく資産額も基準に加えるべきではないか、等の問題がある。
そして自己負担率の適正な水準がいかなる水準なのかについての議論が必要だ。それは、税や社会保険料の適正な負担率がどのようなものなのかという問題と同じように、重要な問題になってくる。
適切な自己負担が必要
なお、自己負担の増加は必ずしも悪いことではない。日本の老人医療は、当初、全額自己負担なしで発足した(ただし、一部の高所得者を除く)。このために、必要がなくても病院に行く人が増えるというおかしな事態が発生した。同じことが、介護保険についても言えるだろう。もし自己負担がなければ、必要性が疑わしい場合にもサービスが使われるということになりかねない。
こうした事態が増えれば、社会保険としての機能を果たせないことになってしまう。これを防ぐためにも、一定の自己負担を求めるのは、必要なことだ。
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