大谷活躍、阪神優勝でも「野球離れ」止まらぬ現実 日本野球がこれだけ盛り上がっているのになぜ

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さらに根本的な「野球離れ」の原因は「子どもと野球の接点が、どんどん失われていること」にあるだろう。

競技人口の統計には表れないが、日本の男の子は、小学校時代からひろく「野球遊び」に親しんできた。オバケのQ太郎やドラえもんなどの漫画に登場する子どもは放課後には「野球遊び」に興じた。

学校から帰るとランドセルを放り出して、グローブとバットを手に、仲間が待つ空き地に行って、日暮れまでバットを振り、ボールを投げてきたのだ。夜はビールを飲む父親の傍らで野球中継に見入っていた。そして翌朝学校に行くと「昨日のプロ野球で活躍した選手」のことが話題になったのだ。

実は昭和の時代は、スポーツ少年団に所属する小学生選手も、中学野球部員も、こうした「野球遊び」に飽き足らなくなったエリートたちだった。ユニフォームを着て野球をする子どもたちの背景に、その数倍にも達しようかという「野球予備軍」がいたことが、他のスポーツとの決定的な差だったと言えよう。

子どもたちの周りから姿を消した野球

しかし今や、プロ野球の地上波放送は特別な試合を除いてあまり放映されなくなった。30年ほど前には安定的に20%もあった視聴率が、21世紀に入って5%を切るようになったからだ。

また、バブル期以降、空き地にはさまざまな建物が立つようになった。公園は増えたが近隣住民の苦情などにより多くの公園が「ボール遊び禁止」になった。

子どもたちの周りから急激に「野球」が姿を消した。そして新たに「サッカー」「バスケットボール」などの他の球技が進出した。守勢一方の「野球」は、子どもの意識から急速に姿を消していったのだ。

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