大谷活躍、阪神優勝でも「野球離れ」止まらぬ現実 日本野球がこれだけ盛り上がっているのになぜ

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小学校から大学までの競技人口は、2014年には54万人弱だったが、2023年には38.6万人に減っている(小学校の2023年の競技人口を10万人と設定)。減少率は、28.5%、この間、小学校から大学までの若者人口も1599万人から1510万人弱と減少してはいるが、減少率は5.6%にすぎない。

野球の競技人口の減少は少子化だけでは説明できないのだ。

「野球離れ」が止まらない背景

筆者はおよそ10年前からこうした「野球離れ」の主たる原因として旧弊な指導者の存在を上げてきた。

(写真:筆者撮影)

暴力、パワハラもいとわない「昭和の指導」、勝つためには一部の選手を酷使する「勝利至上主義」などが、特に母親の忌避感を招いた。「父親は野球をさせたいが、母親が反対する」などによって「野球離れ」につながった。

しかし、近年はこうした旧弊な指導者は大幅に減った印象がある。少年野球チームでも「全員試合に出場」「初心者は優しく指導」などを売り物にするチームも増えてきた。古い野球指導をする指導者は、ここ10年でかなり淘汰が進んだのではないかと思う。

しかし一方で前にも触れたが親の負担は、増える一方だ。「お茶当番」「遠征の送迎」などの負担に加え、野球用具の金額も高くなる一方だ。競技人口が減っているのだから、グローブやバットなどの生産数は減少する。メーカーは売り上げを維持するために価格に転嫁しようとする。

高校野球では来季から新たな規格の低反発金属バットを導入する。日本高野連は全国の加盟校の高校野球部に1校当たり2本(さらに追加で1本)、新規格の金属バットを配布すると発表したが、特に公立校の指導者からは「3本ではとても足りない。新しいバットは1本4万円弱もする。OB会に頼んでみるが、追加で何本購入できるかわからない」という声も出る。

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