「今年こそ投資を始めたい」人が陥る"3つの盲点" 新NISA開始で「投資しないともったいない」の罠
そして、損している人は、「株なんて難しいぜ。俺は200万円も損しちまったぜ」なんてつぶやいたりはしません。
僕らが手にする情報は自然と偏っていきます。これは、僕が長年トレーダーとして働いてきて学んだ最も重要なことの1つです。
客観的な数字を見る場合でさえ油断は禁物です。
「過去15年間、こんなに値上がりしているんですよ」と株や投資信託のグラフを見せられることがあります。しかし、その情報も、さらに遡って30年分の動きを見ると別の真実が見えてくる場合があります。
情報は歪んでいるかもしれないと疑ったほうが賢明です。
盲点2:投資をしても日本はほとんど変わらない
政府は「貯蓄から投資へ」をスローガンにしています。経済を成長させるため、企業を応援するためにも投資が重要だという声がありますが、ただ投資マネーが増えても、経済が成長するわけではありません。
バブル崩壊から30年以上たっても、日本の株価は当時の水準をいまだに回復していません。一方で、アメリカの株価は10倍以上に上昇しています。
日本の株価が回復しない理由として、「日本人は預金ばかりして投資をしなかったからだ。1000兆円の個人預金が投資に回れば日本は成長する」という声も聞こえますが、これはいささか無理がある主張です。
なぜなら、お金は簡単に国境を越えて移動できるからです。これまでも日本に魅力的な企業が存在していれば、投資マネーはためらうことなく、海を渡って日本に流れ、株価が上がっていたはずです。
根本的な問題は、日本には投資先として魅力的な企業が少なかったことにあります。アメリカの株価上昇を牽引してきたのは、GAFAなどの新興企業。GoogleやAmazonなどに投資マネーが流れて、新しい産業が次々に生まれました。それが時価総額の上昇としてアメリカの株価に反映されたのです。
これは、パナソニックやソニーなどの電機産業やホンダやトヨタなどの自動車産業が、日本の高度成長期の経済を牽引してきたのと同じことです。
経済が成長するには、ただ投資マネーが流れるのではなく、そのお金を受け取って新しいことに挑戦する人々や企業の存在が必要です。しかし、さきほども書きましたように、資金需要の乏しい日本では株の購入の99.8%は、他の株主から株を買っているだけで、株を発行する会社にはほとんど流れません。
そういった状況の中では、「株を買って、会社を応援する」というのも、実態からはかけ離れているように思えます。
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