「今年こそ投資を始めたい」人が陥る"3つの盲点" 新NISA開始で「投資しないともったいない」の罠
株式会社で働いている人は、自分の会社の株主が佐藤さんから田中さんに変わったときに、「自分は応援されている」と感じて、仕事をいっそう頑張ろうと思えるでしょうか。それよりも、自分の会社の商品を買ってもらったときのほうが、よほど応援してもらっていると思うのではないでしょうか。
盲点3:投資するより働いて稼いだほうがいい
最後の3つ目として伝えたいのは、投資がお金を増やす近道とは限らないということです。
働くことより投資をがんばろうと思う人が増えているのは、「r>g」というピケティの不等式の影響もあります。フランスの経済学者のピケティは世界の格差が拡大していることを、この不等式によって理論的に証明しました。大まかにいうと、労働によって得られる富よりも、投資によって得られる富の成長のほうが速いということです。
そのため、労働よりも投資をがんばったほうがいいと考える人が多いのですが、そこには大きな落とし穴があります。
ここでいう「投資によって得られる富の成長」は、だいたい年率5%ほどだと言われています。しかし、多額のお金を動かすプロがひしめいている投資の世界では、どんなにがんばっても平均を超えることは非常に難しいです(たまたま儲ける人はいます)。
言葉は悪いですが、素人がどんなに知恵を絞って投資をしても、より多くの情報をもって取引をしているプロの養分になるだけで、損する可能性が大きいのです。がんばっても5%を超えることはありません(余計なことをせずに、ただ平均を目指してインデックス投資をしておけば十分です)。
その一方で、「労働によって得られる富の成長」は、年率2%くらいです。ところが、こちらについては、努力次第で世の中の平均を大きく超えることも可能です。
スキルアップして転職すれば大幅に年収が上がることがありますし、自分で事業を始めるという選択肢もあります。世界の大富豪ランキングを見ると、上位のほとんどは投資する側の人ではなく、投資される側に回って事業を始めた人たちです。これだけ投資したい人が増えている日本では、投資される側が重宝されるのは言うまでもありません。
これまで話してきたように、投資というのはお金のなる木を育てることでも、企業の株を買って値上がりを待つことでもないのです。
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