「今年こそ投資を始めたい」人が陥る"3つの盲点" 新NISA開始で「投資しないともったいない」の罠

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すぐ隣の棚では、福田のおばさんと母が2人して本を吟味していた。
「ねえ、これはどうかしら。税金のことも書いてあるのよ」
おばさんが手にした本の帯に、「初心者」「投資」という単語が見える。2人の前にある本棚には、お金の貯め方や増やし方の本が並んでいた。
会計を終えたあとも、2人はしばらく話し込んでいて、その内容は優斗の耳にも入ってきた。
福田書店もネット通販や電子書籍に押されて将来への不安を感じているそうだ。おばさん自身もお金の勉強を始めたらしい。母もまた、年金だけだと老後は安心できないともらしていた。
『きみのお金は誰のため』102ページより

投資をするのは大いに結構なことですが、十分理解したうえで始めないと足をすくわれたり、本来目指していた結果につながらなかったりします。今日は見落としやすい3つの盲点についてお話しします。

盲点1:投資をすすめる人の情報にはバイアスがある

投資をすすめる人の言葉の裏には、さまざまな本音が隠されています。それに気づかずに表面的な情報を信じていると、知らないうちに相手の思いどおりに動かされます。

たとえば、「預金で眠らせているのは、もったいないです。新NISAも始まりますし、投資運用したほうがいいですよ」とすすめる銀行員の言葉にうなずいていませんか? 彼らの本音は別のところにあります。

そもそも預金は銀行の金庫で眠ってなんかいません。銀行の仕事は金庫の中でお金を保管することではなく、個人や企業に融資したり債券や株などの金融商品を買ったりして運用することです。

ところが、日本には資金需要が少ない(新しい事業や会社を始めるために、お金を借りたり投資をしてもらったりする人が少ない)ため、預金されたお金が有効活用されず運用することが難しくなっています。自分たちが運用するのが難しいから、預金者に投資をすすめて手数料で稼ごうとしているのです。

投資をすすめてくるのは銀行だけではありません。SNSでもネット記事でも書店に並ぶ本でも、もうけ話は溢れています。

「コツさえわかれば株なんて簡単だ。100万で買った株が、300万で売れたよ。1カ月で200万円も儲けた」

こんな話を聞かされると、やっぱり自分も株式投資を始めようかなと思ってします。しかし、こうした情報には自己顕示欲による偏りがあると思ったほうがいいでしょう。

世の中には、儲けている人たちだけではありません。株を100万円で買って300万円で売った人の裏には、100万円で株を売った人300万円で株を買った人が必ず存在しています。必ずです。

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