スタバ「巨大企業帝国」がはらんできた数々の矛盾 矛盾に満ちた経営が、独特な共同体を作り上げた

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GAFAも、国家並の経済的な規模感をすでに持っている

また、スタバとGAFAの比較も、多くの気づきを私たちに与えてくれるだろう。先ほども述べたように、スタバが作り上げているような新しい「国家」を、また別に作っているのがGAFAなどの巨大企業である。

特に、今回の連載ではあまり触れることができなかったが、「スタバ」と「Apple」の親和性の高さは特に考える必要がある。

「スタバ」が矛盾をはらんだ企業であることは見てきた通りであるが、アップルもまた、数々の矛盾をはらんだ企業である。多くの人々が使っているブランドでありながら、そこにやはり独特な特権性を持たせている。この点でいえば、スタバと同じようなポジションを持っている。

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こうした数々の「企業帝国」の中にスタバは位置している。それらの「企業帝国」の地政学を読み解く作業もまた、スタバという企業の分析を行う中でできるのではないか。

さて、6回にわたってお送りしてきたスタバに関する連載もこれで終了である。まだまだ語り尽くしていないことは多いが、これまでにはない角度からスタバについて語ることができたのではないか。

それでは筆者は、疲れた脳を癒しに、スタバという国に旅行してこようと思う。

谷頭 和希 チェーンストア研究家・ライター

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たにがしら・かずき / Kazuki Tanigashira

チェーンストア研究家・ライター。1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾 第三期」に参加し宇川直宏賞を受賞。著作に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』 (集英社新書)、『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)がある。テレビ・動画出演は『ABEMA Prime』『めざまし8』など。

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