いつまでも「3年中計」を作る日本企業の大問題 前例踏襲癖から抜けられないサラリーマン病

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こうした人々は安心できる食材の宅配サービスがあれば、ずっとリピート顧客となってくれるだろう。つまり、社会課題の解決と、ビジネスとしての成功は、矛盾せずに両立しうるのである。

若者の強みは、前例にとらわれずに、素朴に「なぜ、世の中に○○なサービスはないのだろう」と考えられる点にある。「それは、たぶん××だからだ」という理由がわかったとして、「では、その××はどうしたら解決できるだろうか」、と考えることができる。そうした人々であれば、大きな社会課題であればあるほど、大きなビジネスチャンスだと考えることができる。

それに対して「サラリーマン病」患者の多くは、自分の頭で「なぜ」を考えることを何十年も前から一切していない。前例踏襲するうえで、「なぜ」を考える必要はないからである。そうした人は、前例の通用しないような社会課題を前にした場合、「そんなことが起きているはずがない」「まだまだ先のことだから関係ない」という反応をしてしまう。

「3年中計」では未来はない

「サラリーマン病」患者の多い企業では、「3年中計」が最重要視される。3年先の未来なら予測できそうな気がするからなのだろうが、実は3年先の未来を当てることは非常に難しい。

3年先の為替レート予測は当たらないし、突発的な事態(戦争、疫病、天災)も予測できない。3年もたつと予想外の技術が突然登場してきたりもする。ライバル企業がM&Aで巨大化してしまうかもしれない。自社の儲け頭の事業をファンドに売却せざるをえなくなってしまうかもしれない。

当たらない「3年中計」をなぜ毎回作るのだろうか。それはまさに前例を尊重しているからであろう。3年中計の2年目には、もう前提が覆っているのに、次の1年を無駄に過ごして、次期の3年中計の検討作業にいそしむのである。そのために残業もいとわないというのは、滑稽ですらある。

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