12月にもある「クマ襲来」私たち日本人が戦う方法 そこには狩猟期間と報酬の問題もあった
熊の被害は、都市部に住む人にも他人事ではない。今年は東京都町田市のキャンプ場にも熊が出没。昭和初期に熊が絶滅したと言われてきた観光地・南伊豆においても目撃情報が出た。
“忍者ヒグマ”OSO18に東京のレストランで遭遇
この夏には、本来草食のはずのヒグマが乳牛66頭を襲った事件も話題になった。OSO18と名付けられたその獰猛な熊は、推定体重330キロ、体長2m10cmと巨大。約14歳と、人間に例えると70歳くらいと高齢だが、過去ほとんど撮影されたことがなく、“忍者ヒグマ”とも呼ばれていたという。
その機敏で老獪な熊肉を、筆者は中里シェフ率いる御茶ノ水にあるジビエ専門店「グルマンズ」で10月に偶然、食する機会を得た。力強い甘みある脂を感じた。肉自体がエネルギーを強く持ち、一緒に食した友人は明け方5時まで眠れなかったという。
すべては「連環」している
このようにさまざまな意味で身近になってきた熊だが、草食であるはずの北海道のヒグマがなぜ肉を食べるようになったのか。
ハンターの話によれば、一説には蝦夷シカの駆除から始まっていると言う。シカの肉を施設に運んでも金にならないので放置し、それを食べて肉の味を覚えた熊が、家畜やら今回のように乳牛を狙って出現するようになったという。
滋賀県でもニホンカモシカを襲う熊の存在が確認されているし、一度味を覚えた熊は先ほどのOSO18同様、繰り返し襲ってくると思ったほうがいい。ちなみに骨の多い部分ではなく、特に内臓を食べるのだという。
狩猟期間と報酬の問題もそこにはある。熊、鹿や猪は狩猟期間が決まっている。鳥獣保護管理法という法律のもと、ツキノワグマはこれまで11月15日から翌年の2月15日までが狩猟期間であったが、昨今の出没回数の増加により今年度から11月1日から翌年2月末までに延長された。
ヒグマの場合は道内では免許を持つハンターによるヒグマの狩猟期間は10月1日から翌年1月31日までとなっている。
問題は、狩猟期間中に捕獲しても国、地方自治体からの支払いは原則なしということだ。狩猟はハンターの趣味という扱いであったり、売ることが目的だから、といった理由らしい。
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