12月にもある「クマ襲来」私たち日本人が戦う方法 そこには狩猟期間と報酬の問題もあった
狩猟期間ではない時期、すなわちそれが駆除に当たるわけだが、その報酬は自治体によって異なるものの、1万円から10万円くらいといわれる。
動物に気づかれないように猟をする『忍び猟』と呼ばれる猟法は、鹿でも猪でも熊でも同じというが、熊より鹿・猪のほうが報酬は低いものの自身の命の安全を鑑みて、ハンターはそちらに向かいがちともいう。
明治、大正時代は報酬としてたくさんの米などが出されていたらしく、それがモチベーションとなって若者たちが熊と戦ったというエピソードもある。
さらには熊には遠距離を撃てるライフルが基本必要。ライフルを扱う資格を得るには、銃刀法上、10年以上にわたり散弾銃を持ち続けた人が対象となるという。そこまで時間がかかると、熊に対峙出来る人の数はどうしても増えにくい。
昨今は、動物愛護の観点からハンターたちがクレームを受けることもあり、ますます熊が増えやすい環境となっている。
熊の行動半径は20〜30キロと広く、それが多様な植物の種を運んでくれるなど、多様性の一役を担っている。しかし、人が襲われる事態はなんとか回避しなければならない。
赤外線で熊の存在を検知する「くまドン」
こうした環境変化に立ち上がった人もいる。そのひとりが、T.M.ワークス轟秀明社長。
もともとは、電車や車を避ける習性のない鹿を周波数(音)で追い払う「鹿ソニック」と言う製品を開発していた。そこから発展させたのが「くまドン」。熊を周波数によってその場から立ち去らせる効果を持つ。殺傷目的ではなく「ここは安全なところではないから山に戻ってほしい」と知らせるのが狙いだという。
「くまドン」は赤外線で熊の存在を探知すると音が鳴る。熊は学習能力が高いので、一度もしくは何度か威嚇されるとその場に近づかないケースが多いという。
一方、その熊の学習能力の高さゆえ、周波数(音)では危害が与えられないことがわかると、脅されても平気で動き回る姿も確認されるケースもあり、熊が一定の周波数に慣れないように別の周波数に変更できる工夫もしている。
クマよけについては、ほかにもテクノロジーの力で解決しようとする試みが進んでいる。会津大学の齋藤寛教授はAIカメラによって「熊」か「猪」か「人」かを判断し、光と14種類の音をランダムに使って脅かすシステムを開発している。
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