世界中の人々が最も後悔していることは何か? 私たちが感じる後悔の4つのカテゴリー

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寄せられた回答を検討すると、いくつかの言葉が繰り返し登場することに気づいた。それらの言葉は、回答者の年齢や居住地、性別、記しているテーマに関係なく、頻繁に用いられていた。それは次のような言葉だ。

「勤勉に」「もっと安定した」「悪癖」
「思い切って」「自己主張」「探索」
「過ち」「正しくない」「よくないと知っていたのに」
「寂しい」「もっと時間を」「愛」

人間の後悔は4つのカテゴリーに分けられる

これらの言葉は、後悔の深層構造を理解する手がかりになる。いくつもの回答を見ていくと、途方もない数のドットによって構成される点描画が描き上げられる過程さながらに、少しずつ深層構造が明らかになってくるのだ。そうやって浮かび上がってきた後悔の深層レベルの実像は、すべての人の人生に関わるものであり、私たちの考え方と感じ方、そして生き方のあらゆる側面に関係している。

私が思うに、人間の後悔は、深層レベルでは4つのカテゴリーに分類できる。

* 基盤に関わる後悔

このカテゴリーに属する後悔は、表層レベルのほぼすべての領域で見られる。教育、お金、健康に関わる後悔の多くは、深層レベルにおける一種類の後悔が違う形を取って表面にあらわれているにすぎない。その深層レベルの後悔とは、責任感ある行動、まじめな行動、注意深い行動を取らなかったことに関わるものだ。

私たちは生きていくうえで、ある程度の基本的な安定を必要とする。肉体の健康と物質的安全が適度に確保されなければ、人生でほかの目標を思い描くことは難しい。ましてや、そうした目標を追求することはもっと難しくなる。

ところが、ときに、私たちの個々の選択がそうした長期的なニーズに反する結果を招くことがある。学校での勉強に気が進まず、早く教育をおしまいにしてしまったり、お金を使いすぎて、十分に貯蓄しなかったり、健康に悪い生活習慣を続けたりといったことだ。

そのような意思決定により、人生の土台にほころびが生じ、望むような未来を迎えられなくなったとき、私たちは後悔をいだく。

* 勇気に関わる後悔

私たちが生きていくうえでは、安定した土台が不可欠だが、それだけでは十分でない。学術的研究および私自身の調査によって得られた強力な発見のひとつは、思い切った行動を取ったことよりも、思い切った行動を取らなかったことを後悔するケースのほうが多いというものだ。

ここでもやはり、それが表面上どの領域に関わるものか(教育か、仕事か、恋愛か)はあまり重要でない。私たちを苛むのは、「行動しなかった」という事実なのである。チャンスを生かさず、故郷の町から外に出たり、自分のビジネスを始めたり、真の愛を追いかけたり、世界を旅したりしなかったことは、いずれも同じように心残りであり続ける。

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