後悔だらけの人生を送っている人が知らない事実 生きることは後悔を重ねることだった

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アメリカ人の後悔について史上最大規模の定量調査を実施した「アメリカ後悔プロジェクト」では、4489人に対して、あえて「後悔」という言葉を用いずに、次のように尋ねた。「自分の人生を振り返り、違う行動を取ればよかったと思うことは、どれくらいの頻度でありますか」。その回答は、実に多くのことを物語っている。

そのように思うことはまったくないと答えた人は、わずか1%、めったにないと答えた人も17%に満たなかった。一方、しばしばそう思う、いつもそう思っていると答えた人を合わせると、約43%に上った。ときどきそう思うと答えた人も含めれば、なんと82%が後悔を感じている。この割合は、デンタルフロスをおこなっているアメリカ人の割合を大きく上回る。

後悔は人生の本質的要素だ

この発見は、過去40年間の科学的研究とも合致している。社会科学者のスーザン・シマノフは1984年、大学の学部学生と既婚カップルを集めて、その人たちの日々の会話を記録した。そして、その内容を分析して、なんらかの感情を表現もしくは描写している言葉を洗い出し、実験参加者たちがとりわけ頻繁に言及していた感情(ポジティブな感情とネガティブな感情の両方)をリストアップした。

幸福感、興奮、怒り、驚き、嫉妬などの感情は、すべてトップ20に含まれていた。しかし、ネガティブな感情のなかで最も頻繁に言及されていて、すべての感情のなかでも2番目に頻繁に言及されていた感情は、後悔だった。ちなみに、それよりも頻繁に言及されていた唯一の感情は愛である。

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このほかにも、世界のさまざまな国を舞台にした研究で同様の結果が得られている。2010年にスウェーデンでおこなわれた研究では、100人以上の人たちの選択と行動を追跡調査した。すると、その人たちは、調査に回答する前の1週間にくだした決定の約30%を後悔していた。

別のある研究は、数百人のアメリカ人の経験と態度を調べている。それによると、後悔は人生のあらゆる局面で非常によく見られる感情だという。「(後悔は)人生の本質的要素である」と、この研究をおこなった研究者たちは結論づけている。

あらゆる分野の研究者たちがさまざまな角度から、さまざまな方法論を用いてこのテーマに取り組み、まったく同じ結論に到達している。ある論文の表現を借りれば、「生きるとは、少なくともある程度の後悔を重ねることであるように思える」というのだ。

ダニエル・ピンク 経営思想家

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Daniel H. Pink

1964年生まれ。ノースウェスタン大学卒業、イェール大学ロースクール修了。米上院議員の補佐官、ロバート・ライシュ労働長官の補佐官兼スピーチライターを経て、1995〜97年はアル・ゴア副大統領の首席スピーチライターを務めた。フリーエージェント宣言後は、ビジネス・経済・社会・テクノロジーをテーマに、記事や論文の執筆、講演などに従事。行動科学をテーマにしたテレビ番組の共同プロデューサーを務めたこともある。世界のトップ経営思想家を選ぶ「Thinkers50」の常連で、2021年のランキングでは9位に選出。

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