国公立大0→20人合格「生徒が半年で激変する訳」 小論文指導で飛躍する「福岡女子商」の舞台裏
柴山さんが着任して3年で、女子商では小論文の推薦によって42人が国公立大学への進学を果たした。1学年100人に満たない年もある中で、快挙といえる。
そして「挑戦を、楽しめ。」のスローガンのもと、この数字には表れない数々のドラマが日々繰り広げられ、生徒の可能性が花開いているのだろう。
「女子商の生徒は、中学の成績で自分には大学なんて縁がないと思い込んだり、家計をおもんぱかって勝手に大学は無理と思ったりしているケースが多い」と柴山さん。では、どうやってその壁を突破するのだろうか。
心の奥にある生徒の本音を引き出す
「心の奥にある本音を引き出すように心がけています。例えば『卒業後のことはどう考えてるの?』と尋ねて『商業高校だから就職かなって思ってます』という生徒には、『それ以外の選択肢は考えたの?』と確認。『いいえ』と言うなら『ほかにちょっとでも興味がある選択肢は?』と聞くと『進学する人もいるし、進学ですかね』と。
『進学は無理だと思ってるの?』と聞いて『私はさすがに……』と答えたら『そんなことないから、行けるという前提で考えてみて。どちらも行けるとしたら、どちらに行きたいかがすごく大事。こっちなら受かりそう、ではなくてフラットに考えよう』と。すると『ずっと就職しか考えてなかったけど、やっぱり進学したいかも』と言い出す生徒も。そうやって自分の本当の気持ちに気付いたとき、生徒の表情がパッと輝いて、すごくうれしそうなんですよ」
柴山さんは、生徒全員のことを知っているわけではない。石崎さんのように初対面の生徒でも、やる気になるのはなぜか。
「学校の先生ってリスクを負いたくないから、できるって話はそうそうしないんですよ。でも、僕は小論文指導の実績がある。だから、『君が小論文で大学を受けると決めたら、半年間、投げ出さずに勉強を続けること。それができれば、僕は君が受かるようにサポートする。そうやって、今まで一緒にやってきた生徒たちは大学への道を切り拓いているから』と伝えます。大切なのは、本人が決めること。僕は選択肢を提示するだけです」
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