国公立大0→20人合格「生徒が半年で激変する訳」 小論文指導で飛躍する「福岡女子商」の舞台裏
2019年に入学。「入学式では出席率や遅刻しないことが重要とカツを入れられて、結構厳しいなという印象でした」。
簿記部に入り勉強も頑張ったが、特に成績上位というわけではなかった。大学に行けるといいなと漠然と思っていたものの、家計的に私大は厳しい。そんな中、柴山先生が着任して、先輩たちが小論文を頑張っていると聞いた。
3年生になる前、小論文講座の説明会に参加した石崎さんは、心を揺さぶられたという。「国公立大なんて自分には縁のない遠い世界だと思っていたけど、身近な先輩たちが合格したと知って。それに柴山先生の話を聞いているとワクワクして、書くことが全然好きじゃないのに、自分もやってみようと思えたんです」
3年生になると、小論文の講座が始まった。「もちろんすごく難しいのですが、知識を身につけ、先生の問いかけに答えて書いていくことが面白かった。小論文には正解・不正解がないから、自分のアイデアを出すことが怖くなくて。とにかく書き続けた半年間でした」
山口大学経済学部経済学科の推薦入試は11月下旬。「1週間前からめっちゃ緊張して、ずっとドキドキしてました」。
そして迎えた受験当日。会場で試験が始まる前、自分がこれまでやってきた小論文の分厚いノートを机の上にバーンと出すと、気持ちが少し落ち着いた。
合格発表は高校で、ひとりずつ教室に呼ばれ、自分の受験番号があるか確認する。自分の番号を見つけた瞬間、すぐには信じられなかったが、番号は確かにあった。
「一緒に勉強を頑張った友達が教室の外で待っていて、みんなが喜んでくれたのがすごくうれしくて、いろんな感情が混ざって泣いちゃいました。おじいちゃんとお母さんが喜んでくれたのも本当にうれしかった」
自分の意見を言える「新しい自分」に
2022年4月、山口大学に入学。大学の勉強は順調で、社会政策に関するゼミで学んでいる。今、彼女が描いている将来の夢は、居酒屋をすること。
「もともと魚があまり好きじゃなかったけど、山口に来てとれたての旬の魚のおいしさにとにかく感動して。だから、おいしい魚をいろんな人に食べてもらいたいんです」
「小論文を学んで、人生が大きく変わった」という石崎さん。「国内外のニュースを見ると、背景まで考えて理解できるようになりました。それに、前は自信がなくて人に同調していたけど、今は自分の意見をちゃんと言えるから、みんなに変わったねって言われます。自分が思いや考えを話せば対話が始まり、相手のことも深く知れるのがいいなと思っています」
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