《日本激震!私の提言》被災4地域ごとに個性、地元ニーズ理解し再建を--藻谷浩介・日本政策投資銀行参事役
--復興構想会議ではどのような街づくりを提案するのか。
まず、被災者がどうしたいのかということが大事だ。被災者の本当の願いである生活再建に向け、合理的な仕組みを考えなくてはならない。
高い堤防を建てたり人工地盤を築いたりして、もともと住んでいた海沿いの平地に住みたいのか、東京など大都市圏に移りたいのか、内陸都市に移りたいのか、津波が及ばない数キロメートル奥の平地や高台に住み替えたいのか。多くの方は、家さえあれば数キロメートル奥や高台に住み替えたいと答えるだろう。仮に低地に高層の避難施設を設けても、津波が夜間だったら、停電の中でそこまで避難しきれるかどうか。海岸沿い地区は昼間、仕事に通うだけにしておけば、いざとなった際には、十分避難できる。
押し付けのプロダクトアウトはいけない。阪神・淡路大震災後の長田区では、かつての住居や産業、地域コミュニティとかけ離れた近代的な高層住宅群や商業ビルに、人も商店も戻っていないというケースがある。
波を被(かぶ)った海岸沿いにこだわる人々がいるのは、そこにしか自分の土地がなく、買い手も付きそうにないからだ。高台や数キロメートル奥の土地を買収し、彼らの所有地と換地するという方式を取れば、そのこだわりは薄れるだろう。近隣になるべくまとまって移転し、コミュニティを維持するほうが、住民もハッピーだし、孤立老人対策などに伴う公共支出も抑えることができる。
被災地は大別して4つ 内陸部も復旧・再開急げ
もう一つ重要なことは、地域ごとの違いに対する理解だ。今回の被災地は、四つに大別でき、状況も地形も異なるので、それぞれに個別具体的な対応を考えないといけない。