「Jリーグクラブ経営にまつわる"常識"は誤解だらけだ」、元リーグ幹部の最新分析で見えてきた《リアルサカつく》の真実

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Jリーグ
ファジアーノ岡山のオーナーでJリーグの専務理事も務めたことのある木村正明氏が導き出した、Jリーグクラブ経営の新常識とは?(撮影:今井康一)
2025年にサッカーJ1リーグに初参戦したファジアーノ岡山。進境著しいこのクラブで2006年から2018年まで社長を務め、経営面の陣頭指揮を執ってきた木村正明氏。Jリーグ専務理事を経たのち、現在は東京大学先端科学技術研究センター特任教授を務めながら、愛するクラブの後方支援に回っている。
その木村氏が4月に上梓したのが『スポーツチームの経営・収入獲得マニュアル』(同文舘出版)だ。同書の中には、岡山やJリーグ専務理事として取り組んだ観客作りやスポンサー営業、グッズ販売、企業価値拡大についての貴重なエッセンスが盛り込まれている。
首都圏と地方都市の経済格差が広がるなか、この先の展望をどう描こうとしているのか。近著での分析も踏まえながら、革新派オーナーのビジョンを前後編に分けて掘り下げる。
後編:J1初年度に意外な健闘、「ファジアーノ岡山」を支える"ゴールドマン流"経営術が併せ持つ《愚直さ》と《懐の深さ》
(外部配信先ではハイパーリンクや画像がうまく表示されない場合があります。その際は東洋経済オンラインでご覧ください)

「小さい町でもクラブ経営は成り立つ」

後半戦に突入した2025年シーズンのJリーグ。今季、初めてのJ1に挑んでいるファジアーノ岡山が大健闘している。前半戦は20チーム中11位で折り返しており、J1残留・定着に向けて着実に歩みを進めている。

今季の岡山は元日本代表・江坂任をはじめとした実績のある選手を補強。さらに育成型期限付き移籍でFC東京から獲得した18歳の佐藤龍之介がブレーク。6月10日の2026年北中米ワールドカップ(W杯)最終予選に出場を果たし、クラブ初の代表選手の誕生にサポーターは沸き返った。

地元・津山市出身の佐野航大(NECナイメヘン)も、2023年夏まで同クラブに在籍した生え抜き選手。そういう逸材が育つようになったことは、クラブとしても非常に明るい材料だ。

そのファジアーノ岡山をここまで育て上げたのが、オーナーを務める木村正明氏だ。2006年に初代社長に就任し、2018年まで経営トップを務めた彼の飽くなき情熱とさまざまな形での尽力がなければ、今の岡山はなかったと言っても過言ではない。

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