「コレステロールで薬を飲むべきか」ということに関しては、『MEGAスタディ』という研究で有効であるという結果が出た。
研究の対象者は、冠動脈疾患にかかったことのない軽〜中等度(総コレステロール値が220〜270mg/dL)の脂質異常症の患者約8000人(男性40〜70歳 女性閉経後〜70歳)。対象者を食事療法だけのグループと、食事療法+スタチン併用グループに分け、約5年間追跡した。
その結果、スタチンを併用したグループで冠動脈疾患が33%減少した。
不確かな偏った情報や認識で健康法に取り組み続けたら、命取りだ。「病気に対する予防法や対処法を誤解して、間違った生活習慣を続けたり、反対に効果がないとあきらめてしまったりするのは、非常によくない」と寺本さんは強調する。
コレステロールや動脈硬化の情報は、日本動脈硬化学会『動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2022年版』を参照したい(サイトはこちら)。
コレステロールの「真実」
最後に、現時点でわかっている動脈硬化に関する医学的根拠を、寺本さんのアドバイスも踏まえつつ紹介する。
★動脈硬化予防に有効なのは、禁煙とLDLコレステロール値を下げること
動脈硬化の一番の要因は喫煙だが、近年、喫煙率がかなり下がったため、次に糖尿病、LDLコレステロール、血圧のコントロールが重要だ。
★LDLコレステロール値を下げるのは食事の管理
タンパク質は魚、豆腐、大豆製品など、植物性タンパク質から摂る。野菜、海藻を食べる。飲み物は清涼飲料水を控え、水や緑茶などに。脂の多いハンバーガーやフライドチキン、加工肉のハムやソーセージなどは控える。卵の摂取とコレステロールの関連はすでにいわれなくなったが、1日1個程度が推奨摂取量。
食事はゆっくりよくかんで食べる。夜の間食はしない。
食べすぎを予防するには、買い物は満腹時にする、食べ物は見えないところにおく、大皿ではなく1人分ずつ盛り付けるといった工夫を。
酒とLDLコレステロール値はあまり関係しないが、結果的につまみで塩分や脂質を多く摂りやすいため、要注意。
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