名医が教える「余命わずか」で後悔しない4か条 車椅子生活を余儀なくされた人が気づいた幸せ
よく耳にする「迷惑をかけたくない」という言葉
看取りの現場で、私がいつも感じるのは、最初のうち、自分自身や自分の人生を否定される患者さんが非常に多いということです。
中でもよく耳にするのが、「迷惑をかけたくない」という言葉です。
かつて、一生懸命家族を守り、支えてきた人でも、会社や社会のために必死で働いてきた人でも、年齢を重ねたり病気になったりして体の自由がきかなくなり、一人でトイレに行くことさえままならなくなると、何もできなくなってしまったこと、他者や社会の役に立たなくなったことに絶望します。
そして、自分を「家族や周りの人に迷惑をかけるだけの存在だ」「何の価値もない人間だ」と責めるようになり、「さっさと死にたい」「自分なんか生きていても仕方がない」、さらには「これまでの人生は何だったのか」「自分の人生には意味がなかった」と嘆くのです。
そんな患者さんの言葉を聞くたびに、私は胸が締めつけられます。
自分の死を願うこと。
自分の存在をいとうこと。
自分の人生に価値がないと感じること。
これほどつらい自己否定はありません。
「自分は、他人に迷惑をかけるだけの存在だ」と考えてしまう人には、責任感の強い人、真面目な人、優しい人が多いように感じます。
その責任感、真面目さ、優しさが、自分を否定するという感情につながってしまうのは、とても悲しいことです。
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