名医が教える「余命わずか」で後悔しない4か条 車椅子生活を余儀なくされた人が気づいた幸せ

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ただ、「他人に迷惑をかけたくない」という思いから自分を否定してしまうのは、人生最後のときを間近に控えた患者さんだけではありません。

若い人、健康な人であっても、「他人に迷惑をかけたくない」という気持ちから、迷惑をかけてしまっている自分を肯定できずにいる人、「自分なんていないほうがいい」と思ってしまっている人が、たくさんいるのではないでしょうか。

「自分は生きていても仕方がない」と書く小学生

私は2000年から、私がホスピスの現場で学んだことを、今を生きる子どもたちに伝える「いのちの授業」を、各地の学校で行っていますが、そこで出会う子どもたちから、

「親の機嫌がいつも悪いのは、自分が悪い子だからだ」

「自分が無力だから、友だちの悩みを解決してあげることができない」

といった苦しみの声を聞くことがしばしばあります。

親御さんの機嫌がいつも悪いのも、友だちの悩みを解決できないのも、決してその子のせいではないのですが、それを自分のせいだと思い込み、自分自身を否定してしまっているのです。

中には、「自分は生きていても仕方がない」とまで感想文に書く小学生もいます。

自分のせいではないことまで自分のせいだと思い込んでしまい、自分を肯定できず、「生きていていい」という気持ちを持つことができない。

そんな苦しみを抱えている人は、子どもでも大人でもたくさんいます。

もしかしたら、みなさんの中には、大きな苦しみを抱え、自分を否定する気持ちが強く、「今の自分のあり方を肯定することなど不可能だ」と思う人もいらっしゃるかもしれません。

しかし、どれほど深い苦しみの中にあり、自分を否定する気持ちが強くても、人には必ず、そこから立ち直り、前を向いて歩き出せる力があると私は信じています。

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