名医が教える「余命わずか」で後悔しない4か条 車椅子生活を余儀なくされた人が気づいた幸せ
たとえば、膵臓がんで余命わずかと宣告された、70代の男性の患者さんは、最初のうち、「周りに迷惑をかけたくない」「早く逝きたい」と口癖のように言っていました。
若いころ、登山が好きだった彼は、車椅子での生活を余儀なくされ、ほかの人の助けがなければトイレにも行けなくなってしまった自分自身に対し「恥ずかしい」という気持ちすら抱き、苦しんでいたのです。
ところが、在宅チームのスタッフと関わり、自分の人生を振り返るうちに、彼は、自分が多くの人に支えられて生きてきたこと、今も家族をはじめ、大切な人たちに支えられていること、彼自身がそうした人たちの支えになっていること、これまで自分が果たしてきた役割に気づきました。
そして、自尊感情(自分を大切だと思える感情)や自己肯定感を取り戻し、今の自分を受け入れ、穏やかな表情で日々を過ごすようになったのです。
自分自身を肯定するために必要な4つのこと
人生最後のときを間近に控えた患者さんと日々接していて思うのは、どれほど名誉や地位、財産があっても、それらは心からの笑顔をもたらしてはくれないということです。
自分を支えてくれている、本当に大切な存在に気づくこと。
自分自身や自分の人生、自分がやってきたことを肯定すること。
自分が人生を通して学んだことを、次の世代に伝えたいと思うこと。
そうしたことができて初めて、人は本当の意味で幸せを手に入れ、穏やかにこの世を去っていくことができるのです。
では、どうすれば、自分自身を消してしまいたいほどのつらい気持ちや苦しみの中で、自分自身を肯定し、穏やかさや、前を向いて生きる力を得られるようになるのか。
私は、そのためには、次の4つのポイントが必要だと思っています。
2.自分をわかってくれる存在に気づくこと
3.変えられるものと変えられないものを見極め、変えられないものを無理に変えようとしないこと
4.変えられるものを変えようと、一日一日を頑張って生きること
いのちが限られた人でも、健康に生きている人でも、自分を否定する気持ちにとらわれることはあるでしょう。
しかし、もがき苦しみながらも、自分の弱さを認め、自分を支えてくれている大事な存在に気づき、自分をわかってくれる人と支え合い、自分の力で変えられるものと変えられないものを見極め、変えられるものについては少しでも変えようと、一日一日を頑張って生きる。
その中で、自分がかけがえのない存在であることに気づき、「Good Enough」(それで良い)と今の自分自身を肯定することができれば、人は必ず穏やかな気持ちを手に入れ、本当の意味で幸せになることができます。
自分を否定する気持ちを手放すことは、その第一歩なのです。
また、自分の気持ちを否定しないことも大事です。
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