少子化対策「全国一律は無理がある」といえる根拠 「婚姻・出生」都道府県ランキングから見えたこと

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「婚姻も出生もプラス」というA群は、九州沖縄を中心とする西日本と東京、大阪の15都府県。対して、「婚姻も出生もマイナス」というD群は、東北、関東から中部北陸を含めた東日本で占められ、19県です。

一方、「婚姻はプラスだが出生がマイナス」というB群は北海道、愛知、香川の3道県のみ。「出生はプラスだが婚姻がマイナス」というC群は、滋賀、京都、兵庫など10府県となります。

これをさらにまとめると、婚姻が足りないエリアが29で、出生が足りないのは22となります。

もちろん、今回の数字はあくまで全国平均比によるものなので、絶対数としては結婚も出産も年々減少してはいますが、2020年単年で見た場合に、単に「結婚はしているのに子どもが産めないのか」「そもそも結婚ができていないから子どもが生まれないのか」という本質的な課題が見えてきます。

人口規模の大きいエリアでの出生数改善が重要

さらに、もう1つ視点として加えるべきは、単純に都道府県の数で見ても意味はないということです。たとえば、東京で生まれる子どもの数は人口最下位の鳥取で生まれる子どもの35倍もあります。絶対人口が違うのだから当然なのですが、合計特殊出生率だけで都道府県比較をしてしまうと、そもそもの人口の差を忘れがちです。

わかりやすく単純化していうと、鳥取の人口で、合計特殊出生率を0.1あげようとすれば年間プラス250人程度の出生数で達成できますが、東京であれば、約8900人のプラスが必要になります。

小さい村で生まれてきた貴重な新しい命を言祝ぐのは大切ですが、国全体のマクロの視点で出生増という少子化対策を考えるうえでは、人口規模の大きいエリアで、出生数が改善されない限り難しいのです。

前述の4象限に分けた内容を、2020~2022年の各都道府県の出生数実績とかけあわせた散布図が以下になります。バブルの大きさが出生数を示します。

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