さらに、先に紹介した東田地区では、北九州市が独自に進めている「東田・未来都市プロジェクト」がある。ここには、デジタルインフラをベースに、自動運転モビリティなどを想定した先進的サービスの構想も含まれる。
直近では、村田製作所とスタートアップ企業が連携して、人流センサーとGPSを活用した路線バスの課題解決実証実験を行っているという。
また北九州市は、市内中小企業のDXを推進している。
市の産業経済局地域経済振興部・次世代産業推進課は、「北九州市ロボット・DX推進センターでは、市内就業者の約8割を占める中小企業を対象に、DX推進のワンストップ相談を行っている」という。
直近では、年間で約100件の相談があり、必要に応じて市によるDX推進補助金を提案。経営層向けのビジネススクールなども実施して、中小企業のDX推進を市がサポートしている。
また市役所業務のDXとしては、2021年度からの5年間を集中取り組み期間とした「北九州市DX推進計画」を策定。行政サービスの起点を、作る側から受け取る側(市民)に転換し、市民サービスの向上、業務の効率化、働き方改革に三位一体で取り組んでいる。
そこで生み出された「時間」と「マンパワー」を使って、「行政需要の先回り」「一人ひとりにフィットしたサービスの提供」「市民・地域・企業のマッチング」など、新しい行政のサービスモデルを生み出すことを目指す。
2023年度は、「書かない・待たない・行かなくていい区役所」の実現を目指す「スマらく区役所サービスプロジェクト」、ローコードツールの全職員へのアカウント配布、生成AIの活用などに取り組んでいるという。
さらに、「DX推進には職員のマインドを変えていくことが重要である」という考え方のもと、市役所の職員7200人のうち、3分の1に相当する2400人をDX人材として育成するプロジェクトを2023年10月に開始。各部署から2名ずつ「変革リーダー」を選出し、研修を実施している。
未来に向けて再び…
北九州市は今、2024年3月を目標に、新たなビジョンの作成を進めているところだ。
直近では、2023年11月22日に示された、北九州市基本構想・基本計画(素案)があり、その中で次のような説明がある。
市民、企業・事業者、コミュニティ、教育・研究機関、そして行政が連携し「つながりと情熱と技術で、『一歩先の価値観』を実現するグローバル挑戦都市・北九州市」を目指す。
「環境は、市のアイデンティティ(個性)」と位置づけている、北九州市。明治維新から続く知見を生かし、北九州市発のさまざまな施策や事業が、日本の未来を切り開くことを期待したい。
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