3つめの理由は、インフルエンサーやD2C(Direct to Consumer)の増加による「多極化」の進行です。
すでに、多くのアパレルD2Cが市場で台頭していることは、みなさんもよくご存じでしょう。最近では「P2C(Person to Consumer)」と呼ばれる、個人を起点としたアパレルビジネスも増えています。
ライブコマースが活況の中国では、著名なインフルエンサーがP2Cで数百億円のアパレル事業を展開するようなケースも出てきています。日本でも、芸能人やインフルエンサーが個人でアパレルビジネスを展開しているのをよく耳にするでしょう。
これら個人や中小のアパレル事業にサステナビリティの規制をかけることは当面難しく、社会のデジタル化が進む中で、D2CやP2Cは今後も増えることが予測されます。
このように、デジタルを効果的に活用し、ニッチなビジネスをうまく展開できれば、中小企業であっても生き残る戦略がとれます。
同時に、このようなビジネスの影響を受けやすいのも、低~中価格帯で一定規模のアパレルビジネスを営む中堅企業であることを忘れてはいけません。
今後の戦略によって「10年後」が大きく変わる
2040年までの長期の時間軸で見ると、3つの要因が重なることで、アパレル業界でも「大手によるシェア拡大」と「中堅企業の淘汰」が進んでいくと考えられます。
その結果、現存するアパレルブランド(企業)が、10年後にはなくなってしまうという可能性も十分あるのです。
日本のアパレル企業は、競争環境の変化に耐え得る規模拡大を目指すのか、特定の市場にフォーカスしたニッチ戦略をとるのか、はたまたグローバルに活路を見出すのか、戦略的な判断が必要な局面に来ています。
特に上場企業においては、上場の継続可否も含めたダイナミックな戦略的判断が必要となる転換期とも言えるでしょう。
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