息の詰まる職場・職場の閉塞感はどこからやってくるのか?(第2回)--就職氷河期世代の閉塞感


 入社して7年があっという間に過ぎ、ふと周りを見渡せば、同期でも残っているのは自分を含め2人だけであった。最初の5年で同期の半分程度が、激務についていけないという理由や単純なテスト作業に物足りなさを感じて辞めていった。

その後、IT人材が売り手市場となり、キャリアアップや高収入への野望を持った同期たちが、次々にITコンサルティング会社やITベンチャーに転職していった。伊川も転職を考えなかったわけではないが、入社前からプログラミング経験のあるエンジニアに比べればどうしても自分の技術力は見劣りすることから、もう少しだけ今の会社でスキルを蓄積しようと考えたのだった。そうこうしているうちに、すっかり転職のタイミングを失ってしまった。

A社では入社10年目のタイミングで「マネジメント(管理職)コース」か「スペシャリスト(専門職)コース」を選択することが求められている。幹部クラスへのキャリアアップのための助走期間として、各人の強みを集中的に伸ばすことが狙いだ。伊川はどちらのコースを選ぶか悩んだが、A社では40代の社員比率が高く、マネジメントコースを選んでも管理職ポストに就ける可能性は低そうに思えた。また、自分があまり得意でない部下管理や顧客コントロールに煩わされるよりは、自分の技術力を磨けるほうが魅力的に思えたため、最終的にスペシャリストコースを選択することにした。

どこかで道を誤っていなければ・・・

伊川は今年で入社12年目になる。A社の業績はこの数年、あまり芳しくない。リーマンショック以降、多くの企業がITへの投資を控えているためだ。伊川は社内でだんだんと自分の活躍の場が減ってきているのを感じていた。開発案件が減少しているため、新しい技術を習得する機会自体が少なくなっている。そればかりか、新しい技術を必要とするような難易度の高い案件がだんだんと伊川に回ってこなくなった。

新しい知識を習得するスピードは以前より落ちており、体力的にもここぞという時に踏ん張りが効かなくなってきたことに、伊川自身もうすうす気がついている。

最近、伊川は自分の将来の姿をあえて想像しないようにしている。スペシャリストコースを選択したといっても、技術一本で勝負していける社員はほんの一握りである。その他多くの社員は、管理職でもない、専門職でもない、どっちつかずの中途半端な存在になってしまうことは、自分の10年先輩の社員を見れば容易に想像がついてしまう。

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