大正製薬の「7100億円で非上場化」にくすぶる不満 株価に「5割のプレミアム」でもPBRは1倍割れ

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マネックスグループ会長の松本大氏は、「東証がPBR1倍割れ企業に改善を求め、もはやPBR1倍は達成すべき最低基準ということが社会通念となっている中で、少数株主に純資産価格以下でのエグジットを半ば強制するようなことは合理的とは考えていない」とコメント。今後も同様の事例が続く可能性を懸念し、今回の意見表明に至ったとする。

大正製薬は創業家が約4割の株式を保有するほか、取引先との持ち合い株も多く、TOBの成立条件として設定した買い付け予定数の下限(66.57%)をクリアするハードルはそこまで高くない。マネックス・アクティビスト・マザーファンドも現時点では、TOB価格引き上げなどの具体的な要求を行っているわけではない。

アクティビスト出現の可能性も

とはいえ油断は禁物だ。

敵対的買収からの企業防衛について助言するIBコンサルティングの鈴木賢一郎社長は、買い付け価格の引き上げを求めるアクティビストが出てくる可能性を指摘する。

「株価がTOB価格を上回っているのは、TOB価格が企業価値より安いと見なされているということ。時価総額の大きい企業の場合、大量保有報告書を出すレベル(保有割合5%以上)までいかなくとも、1~4%取得したことをアピールし、経営改革を求めるアクティビストもいる」(同)

実際、市場関係者の間では「MBO発表後、株式取得に向けて動いているファンドもいるようだ」との声も聞こえる。株価が急騰している背景には、こうしたファンドの動きが関係している可能性もある。

国内過去最大のMBOは、無事に成立するのか。先行きは波乱含みだ。

兵頭 輝夏 東洋経済 記者

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ひょうどう きか / Kika Hyodo

愛媛県出身。東京外国語大学で中東地域を専攻。2019年東洋経済新報社入社、飲料・食品業界を取材し「ストロング系チューハイの是非」「ビジネスと人権」などの特集を担当。現在は製薬、医療業界を取材中。

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