「昇進した社員が無能になる」に対する驚く対処法 イグノーベル賞を受賞したおもしろすぎる研究
一方でピーター仮説では、昇進時に一気に無能化してしまう場合もあれば、新しい仕事をうまくこなせる場合もある。そこで、新しい有能度はランダムで割り当てた。例えば有能度が9だった人が5になることもあるし、反対のパターンもあり得る。
昇進サイクルを何度か繰り返した後、組織全体の効率性を算出し、次のような結果が得られた。
まずは常識仮説の、昇格した後の有能度が昇格前と同等の場合では、優秀な人を昇格させると組織の効率性は最も高まった。反対にピーター仮説の、昇進後に有能度がランダムに変わる場合では、無能な人を昇格させるほうが組織の効率性は高まる、という結果になったのだ。
ところが、組織たるものは複雑である。組織が明確にピーター仮説型だと分かっていれば、無能な人を昇格させれば良い。ただ、仮に常識仮説型であった場合は大きな損をすることになる。
ランダムに昇格させると「無難に良い」
そこで研究者たちが勧めるのは、ランダムに昇格させることだ。この場合には大きく得することはないが、組織が常識仮説型でもピーター仮説型でもマイナスにはならず、「無難に良い」ことが示された。もしくは、47%の場合は優秀な人を昇格させ、残りの53%の場合は無能な人を昇格させる混合戦略でも「無難に良い」と報告している。
この研究者たちは別の研究で、政界においても議員をランダムに選出したほうが、成立する法案の数や、社会福祉の観点で効率的だということを突き止めた。古代ギリシャの民主制はランダム選出を採用していた。歴史に学ぶことで現代の行政でも改善が望める、としている。なんだか耳が痛い。
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