「昇進した社員が無能になる」に対する驚く対処法 イグノーベル賞を受賞したおもしろすぎる研究

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ならば、どうやって出世する人を選べば良いのか?その方法を、数学的なシミュレーションを使って考え抜いた研究者がいる。2010年の経営学賞を受賞した、アレッサンドロ・プルチーノ准教授をはじめとするイタリアの物理学者たちだ。面白半分で始めた研究が思いの外大掛かりなことになり、イグノーベル賞を受賞してさらに大ごとになってしまった、という。

シミュレーションを行うにあたっては、次のような会社を想定した。階層はヒラから社長までの6段階、下の階層ほど人員が多く、60歳になると定年退職する。各社員にはランダムで年齢と有能度を割り当て、有能度の平均が10段階中の7になるよう初期設定した。

通常、従業員を昇格させる基準は会社によって様々だ。今回のシミュレーションで研究チームは、「一番優秀な人を昇格させる」「一番無能な人を昇格させる」「ランダムで昇格させる」の3つを試すことにした。

合計で6パターンのシミュレーション

この3つの基準に、有能な人は出世してもそれなりに有能であるとする「常識仮説」と、出世前と出世後では能力は異なるとする「ピーター仮説」の2説を掛け合わせた。合計で6パターンのシミュレーションを行ったのである。シミュレーションで昇格のチャンスが訪れるのは、誰かが定年退職した時と、誰かの有能度が4を下回ってクビになったとする時だ。

常識仮説のシナリオでは、優秀な人は昇進しても優秀なはずである。そこで昇進時には、もともと割り当てられた有能度をランダムで2ポイント前後変更した。例えば元の有能度が8の人は、10まで上がったり6まで下がったりすることはあり得るが、4まで下がることはない。

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