例えば、「しっかり」というイメージは、なんとなく想像できます。ただそれは「イメージ」に過ぎないので、ぼんやりとわかったような、わからないような感じで伝わるのです。親は、今までの経験値から「しっかり」のイメージが自分の中で出来上がっているかもしれませんが、子どもはそうではありません。
親が子どもに「何を」伝えたいのか
どうしたらよいかよくわからずに、いつも同じことで叱られていると、「できない自分」という刷り込みが起こり、何かをやろうとする原動力や自信を失うことにもつながります。ですから、親の頭の中の「しっかり」を具体的に言葉で、子どもに伝える必要があります。「洋服のボタンを留めて」なのか「忘れ物をしないようにカバンの中をチェックして」なのか、その時に応じて、具体的な行動を促す言葉かけをしましょう。
そして、最も大切なのは、親が子どもに「何を」伝えたいのかを、親自身が明確にすることです。自分の中での意思が明確に把握できていないと、相手にわかるように伝えることは不可能です。しかし、その意思を自覚することが難しくなっています。親も余裕のなさから、ご自身の気持ちに向き合うという時間を逸しているからです。
自分の気持ちは自分にしかわからないものなのに、その自分でさえ、それをつかみにくくなる傾向が昨今とても多いのです。情報過多、ストレスの多い現代人には、自分に向き合うという時間が持てずに、常に外に向かってアンテナを張っている状況です。自分の気持ちに向き合うことは、内側にアンテナを向けることで、ある意味とても面倒なことなので、ついつい目をそらしたくなるものです。
自分のいやな面は見たくないですし、自分の本当の気持ちを優先したら、行動できなくなることもあるので、それを恐れるのです。ただ、それを続けていると「退化」が起こり、自分の気持ちに気づけなくなる、本心を認めづらくなるといったことが起きてしまいます。結果的には、ますます自分の気持ちがわからなくなるというスパイラルにはまり、よろしくありません。ですから、親も自分に向き合う、自分のための「ひとり時間」が必要です。
子育て中は、なかなか難しいとは思いますが、短時間でも意識的に創り出すことが必要です。
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