ビジネスケアラー「介護休業」に引きこもりの罠 望むは仕事に穴を開けず介護も成功させること

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企業の「介護支援制度」に対するビジネスケアラーの認知度・利用率(単位:%)(出所:『ビジネスケアラー 働きながら親の介護をする人たち』)

ただ、「介護休業を長期でとってはいけない」と言いましたが、実はそう言うまでもなく、そもそも「介護休業制度をとりづらい」と感じているビジネスケアラーも多いかもしれません。

図は介護休業制度、介護休暇制度、介護時短制度が、実際にどれくらい利用されているのかに関する、弊社の独自データを示したものです(サンプルサイズ2555人)。

この分析から明らかなのは、大多数のビジネスケアラーは、介護休業制度などの存在は正しく認識してはいるものの、それを利用していないという事実です。

その理由は、介護のためのお金が稼げなくなることだけでなく、職場の理解が得られないことや、評価が下げられてしまう恐怖など、さまざまです。

いざというときには休みやすい職場である必要はあるでしょう。

ただし、実際のビジネスケアラーたちが求めているのは、休みやすさではなく、とにかく仕事に穴を開けないで介護も成功させることなのです。この点についての理解は、まだ日本の企業には広がっていないというのが現実です。

介護離職のボーダーラインとは

さらに決定的なデータがあります。

ビジネスケアラー 働きながら親の介護をする人たち (ディスカヴァー携書)
『ビジネスケアラー 働きながら親の介護をする人たち』(ディスカヴァー携書)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

平日平均2時間以上、休日平均5時間以上を介護のために使ってしまう人は、介護離職をするというものです。これは介護離職のボーダーラインであり、本人はもちろん、企業もまたしっかりと認識する必要があります。

「休みやすい職場」もたしかに大切なことですが、「仕事を休まずに、介護を行っていける具体的な方法」を情報として得られる環境が、ビジネスケアラーにとって重要なのです。

酒井 穣 株式会社リクシス 取締役副社長CSO

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さかい じょう / Joe Sakai

1972年、東京生まれ。慶應義塾大学理工学部卒。Tilburg 大学 TIAS School for Business and Society 経営学修士号(MBA)首席(The Best Student Award)取得。商社にて新事業開発、台湾向け精密機械の輸出営業などに従事後、オランダの精密機械メーカーにエンジニアとして転職し、オランダに約9年在住。帰国後はフリービット株式会社(東証一部)の取締役を経て、独立。複数社の顧問をしつつ、NPOカタリバ理事なども兼任する。主な著書に『新版 はじめての課長の教科書』(ディスカヴァー)、『「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト』(光文社新書)など。

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