マスコミでもよく取り上げられる引きこもりは、なにも、子どもにだけ起こることではありません。社会人にも引きこもりは起こります。これまで引きこもりとは無縁の人生をおくってきた人にとって「ちょっと休む」ことの怖さは、なかなか実感できないかもしれません。
しかし引きこもりに至る心理的なプロセスは、意外と誰にでも起こりえるものであり、そのはじまりは「ちょっと休む」ことなのです。実際に、社会人が引きこもりになる理由として最も多いのは「ちょっと休む」結果として、どんどん職場に適応できなくなってしまうことが最多(28%)なのです。
きっかけは、「仕事と介護の両立がストレスだから、ちょっと休んでゆっくり介護したい」だったとしても、介護のために93日も連続して休んでしまうようなことになれば、それ以前にあなたが行っていた仕事は、他の誰かに引き継がれているでしょう。そうなると、職場に復帰しても、あなたの仕事はもうないかもしれません。
こうした場合「自分がいなければ仕事にならない」といった自尊心は、復帰するときには砕かれています。自分があまり必要とされていない職場に、自分が戻る理由は、どこにあるのでしょう。そんなことをグルグルと考えはじめると、もう1日くらい休んでおくかという気分にもなります。
「介護休業制度をとりづらい」現実
さらに、介護の実態を考えても1回で93日を取得することはすすめません。
介護休業をとるにしても1回でとらずに、3回に分けてとり、介護初期のパニック期やアクシデントが起きてその対応に時間がかかりそうなときにとるようにしたほうがいいでしょう。介護のめどがついたとはいえ、復帰してからも、介護のために再び休む必要が出てくることもありえるからです。
そもそも、ビジネスケアラーとして上手に両立していくということは、職場への適応性を多かれ少なかれ少し下げるということでもあります。程度の差はあれ、出張や残業がしにくくなるのが現実だからです。
介護休業は、かなり長期の休みが認められる制度です。その取得は、介護のめどをつけるためには、たしかに必要なものかもしれません。それでも、そこには引きこもりが生まれてしまう心理的なプロセスが、リスクとして大きな口を開けていることは覚えておいてください。
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