ガザ危機「10月7日、私はミサイルの音で目覚めた」 現地で支援活動した日本人が語る恐怖と「感謝」

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私たちの生活をサポートしてくれていたパレスチナ人スタッフとも、MSFの欧州の統括チームや日本の事務局、そして心の支えになっていた家族とも連絡ができなくなった。

携帯が使えないということは、負傷者がいても救急車が呼べないということでもある。絶望的な気持ちになった。

爆撃が続き、水も食べ物も尽きそうだという極限状態の中の3週間の避難生活で、私たちが生き延びることができたのは、パレスチナ人スタッフたちのおかげだ。

彼らは私たちを守るために、食料や水、必要な生活用品を、文字通り命をかけて街中を探し回って届けてくれた。

さらに、できる限りの医療活動を続け、多くの命を今も守っている。彼らの優しさと強さに心から感謝し、尊敬の念でいっぱいだ。いま彼らが無事にしているのか、祈ることしかできない。

11月1日、私たち外国人はラファ検問所からついにエジプトに退避した。もちろん安堵の気持ちを感じたし、退避に向けて尽力くださった多くの方に心から感謝している。しかし、私たちの避難生活を命をかけて支えてくれたパレスチナ人の仲間たちを残していくことは、とても心苦しかった。

ガザ南部に避難中
ガザ南部に避難中に同僚と話す様子(手前右が筆者) ©MSF

一時休戦ではなく、いますぐ停戦を

私は11月5日に日本に帰国した。しかし、その後もガザの中では現地スタッフが残り活動を続けている。なかには危険なガザ北部の病院に自らの意思で残り、医療活動を続けているスタッフもいた。

そこで悲劇が起こった。ガザ北部にある病院の1つ、アル・アウダ病院が11月21日に攻撃を受け、私たちの同僚であるMSFの医師ら3人が亡くなった。

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