ガザ危機「10月7日、私はミサイルの音で目覚めた」 現地で支援活動した日本人が語る恐怖と「感謝」

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ガザ南部に避難
ガザ南部に避難中、懐中電灯の下で夜間の打ち合わせをする様子(右が筆者)©MSF

ガザ地区でのプロジェクトの人事と財務を担う「アドミニストレーター」として、私は今年5月からガザに派遣された。主に人事担当として、パレスチナ人スタッフの採用や給与の支払い、支援先病院への人材配置などを担った。

ガザへの派遣は、今回が初めてではない。2018年から2019年にかけてもガザに派遣され、多くのパレスチナ人スタッフや、各国から集まったスタッフらと働いてきた。

ガザが忘れられるのが怖い

ガザの仲間から今回かけられた、忘れられない言葉がある。

「世界の人たちは、ガザで何が起きているかを知らないまま、またガザのことを忘れてしまうんだろうか。それが怖い」

ガザはこれまでに何度も大規模な攻撃に見舞われてきた。そのたびに国際的なニュースになるものの、鎮静化すると、すぐに忘れ去られてしまう。それが繰り返されてきたのだ。

日本では今、10月7日以降の紛争による惨状が主に伝えられている。しかし、ガザはそれ以前から「天井のない監獄」と呼ばれ、イスラエルによる封鎖で人や物の出入りが厳しく制限された状態が16年も続いている。

燃料や水の供給はイスラエルの管理下にあり、電力不足が慢性化。一般的な家庭への電力供給は1日4~5時間に限られていた。経済状況も極めて悪く、若年層の約7割が失業状態だ。そのため、私たちMSFが1人の求人を出すと、1000人もの応募が来ることが珍しくなかった。

ガザで繰り返される武力衝突は、銃撃や爆発による外傷のみならず、人びとの心にも影響を及ぼす。MSFは、複数の病院で外傷ややけどに対応するほか、心のケアにも取り組んできた。

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