ビジネスケアラー"抱え込むな"介護と仕事は同じ 「家族と介護サービスのプロによるチーム戦」

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(2)介護とはマネジメントであると理解し、介護に関わる「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」を把握し、それぞれの資源を成長させること。

「ヒト」であれば、介護を支えるための新たな人脈を築き、それを効率的に維持・活用すること。「モノ」であれば、介護負担を軽減させる商品・サービスなどを活用すること。

「カネ」であれば、様々な介護の制度を理解して無駄な出費をおさえ、必要なサービスをよりうまく使うこと。そして「情報」は、介護全体を俯瞰して考えられるような良質なものにアクセスし、学ぶこと。

(3)企業のサポートが必要。企業が、働く介護者のニーズを把握すること。介護に関して相談できる職場の雰囲気を醸成していくこと。

ただし、ビジネスパーソンにとって、自分が介護役割を担っている現実はカミングアウトしにくいことを理解する必要がある。

デリケートな課題であり、ここに対応するには、介護の専門家としての旧来の介護相談窓口では不十分。仕事と介護の両立を支援できる、外部の両立支援アドバイザーなどが必要。

一人ひとりの積極的な働きかけが大切だ

(3)の企業のサポートについては、経産省のテコ入れによって、今後、良い変化が期待できます。これからは、従業員の介護支援(ビジネスケアラー支援)が、健康経営の評価指標になっていくことが決まったのです。人的資本経営の文脈でも、従業員の介護支援は、注目されています。

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とはいえ、そうした介護支援が充実するのを、ただ待っているだけではいけません。あなた自身が、こうした企業のサポートを拡充するために、経営者や人事部と連携していくことも重要です。

何事もそうなのですが、ただ、誰かに助けてもらうのを待っているだけではダメで、自らが求める環境を構築するために、周囲に対して積極的に働きかけていくことが重要なのです。

人類史上かつてない高齢化が進む日本においては、誰もがいずれ、仕事と介護を両立するビジネスケアラーになっていくのです。あなたの積極的な働きかけによって、社会が良い方向に進化していくとするならば、あなたの苦労は、きっと報われると思います。

酒井 穣 株式会社リクシス 取締役副社長CSO

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さかい じょう / Joe Sakai

1972年、東京生まれ。慶應義塾大学理工学部卒。Tilburg 大学 TIAS School for Business and Society 経営学修士号(MBA)首席(The Best Student Award)取得。商社にて新事業開発、台湾向け精密機械の輸出営業などに従事後、オランダの精密機械メーカーにエンジニアとして転職し、オランダに約9年在住。帰国後はフリービット株式会社(東証一部)の取締役を経て、独立。複数社の顧問をしつつ、NPOカタリバ理事なども兼任する。主な著書に『新版 はじめての課長の教科書』(ディスカヴァー)、『「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト』(光文社新書)など。

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